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奄美固有種のウケユリの保護を目的とした瀬戸内町文化財保護審議会(山元俊二会長)と池地実り会(三ノ京浩人会長)の合同会合が22日、鹿児島県瀬戸内町請島であった。コロナ禍で同島での開催は5年ぶり。委員ら8人がウケユリの自生地を調査し、生育環境や減少要因の分析、保全対策などについて意見を交わした。
ウケユリは、花弁が純白の強い芳香を持つユリ科の植物で、岩場や崖地に生育する。多産地の請島のほか、奄美大島、加計呂麻島、与路島、徳之島にわずかに点在。環境省レッドリストで絶滅危惧IA類に指定されている。
請島・大山(標高398メートル)の自生地は2008年に県指定天然記念物になっており、保護のため、入山には町への申請と池地実り会の案内人の同行が義務付けられている。
今回の現地視察では、交雑の恐れがある近縁種の侵入がないかなどを踏まえ、自生状況を確認。会合で適切な光環境を保つための間伐や腐葉土の使用等の保全対策が検討された。
請島は池地、請阿室の2集落。会合では池地実り会案内人の人材確保や受け入れ体制についても話し合いが持たれ、会員からは「島の人で守っていきたい思いがあり、請阿室との協力体制も視野に入れ、今後の在り方を考えたい」との意見も上がった。
所管する町立図書館・郷土館の担当者は「引き続き、各団体等と連携を図りながら希少種の保護、保全に努めていく」とした。
同館で入山申請業務が始まった16年度以降の大山入山状況(調査研究等含む)は、コロナ禍前の18年39件が最多。過去3年は21年6件、22年11件、23年14件。
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