鹿児島県奄美市立奄美博物館の講演会が11月4日、奄美市名瀬の同館であった。琉球大学の研究者2人が講師となり、受粉のために哺乳類を利用するマメ科のつる植物「ウジルカンダ(別名イルカンダ)」のユニークな花の仕組みや、沖縄で同種の結実に関わっているオオコウモリの生態について解説。奄美大島や徳之島にもオオコウモリが飛来、生息している可能性があるとして、「食痕を見付けたらぜひ連絡を」と呼び掛けた。
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講師は琉球大名誉教授で北九州市立いのちのたび博物館の伊澤雅子館長と、同大理学部海洋自然科学科生物系の小林峻助教。約30人が参加した。
オオコウモリの仲間はアメリカ大陸を除く熱帯と亜熱帯に分布し、主に果実や花の蜜、花粉を餌にする。国内では小笠原諸島のほかトカラ列島から沖縄本島以南の離島にかけて生息し、奄美群島では沖永良部島と与論島で確認されている
伊澤氏によると、オオコウモリは餌を求めて十数キロ移動することもあり、空白地帯の島々にも頻繁に飛来、または生息している可能性があるという。伊澤氏はオオコウモリの食べかす「ペリット」の特徴を紹介し、「木の下に落ちていないか探して」と呼び掛けた。
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小林氏は東南アジア~九州に分布するウジルカンダについて、受粉のためには蜜を餌とする哺乳類などが花弁をこじ開ける必要があり、沖縄ではオオコウモリが結実に関わっていると説明。一方、東南アジアではリスやサルがその役割を担っていると語った。
ウジルカンダは2022年に徳之島で大量結実の報告がある。小林氏は「前脚が器用なケナガネズミの可能性もある。花を見たらよく観察してほしい」と話した。ケナガネズミの生態や、樹洞を利用する奄美・沖縄の森の生き物の説明もあった。
参加した大島高校2年の男子生徒は「(ウジルカンダの)花は知っていたが、受粉の仕組みには驚いた。コウモリが好きなので奄美でオオコウモリを探してみたい」と話していた。
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