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デイゴの成分、製品化へ 奄美大島でサミット、保全通じて地域活性化にも

鹿児島県大島郡瀬戸内町が文化財に指定している同町加計呂麻島の諸鈍のデイゴから植物成分を抽出して製品化し、美容や健康業界での事業化を目指すプロジェクトが始まっている。デイゴの持続的な保全が目的で、樹勢回復に取り組んでいる「木風(こふう)」(東京都、後藤瑞穂代表取締役社長)が主体。同社は18日、同町役場で「デイゴサミット」と題し、成分活用に向けた住民との意見交換会を開いた。

南海日日新聞【写真】会場で、クサラやデイゴから抽出された飽和水や精油の香りを確認する参加者たち=18日、瀬戸内町役場

 

同社によると、諸鈍のデイゴ並木は樹齢100~400年。5月ごろに深紅の花を咲かせることで知られる。一方、外来種の害虫デイゴヒメコバチなどの影響で、かつて85本あった並木は現在65本に減少している。

木風は樹木医として2017年から町の委託を受けデイゴ並木を治療。今後の並木の維持には地域ぐるみで保全に取り組む必要があるとして、21年にプロジェクトを始めた。

サミットはプロジェクトの一環で、デイゴの葉から精油を抽出する実験に携わったお茶の水女子大学の森義仁教授(薬学博士)らが結果を報告。デイゴの葉から精油はほとんど抽出されなかったが、飽和水からは個性的な香りが漂い、嗜好(しこう)品として活用が期待できると指摘した。

また、奄美産かんきつのクサラを使った蒸留実験も行い、少量の精油が抽出できたと報告。シトラス属の特徴である抗菌作用や抗酸化作用、抗ウイルス作用、抗がん作用などの成分が期待できるとして今後、専門業者を通して検証していく必要があると話した。

サミットには加計呂麻島からを含め住民ら約10人参加。意見交換会では▽商品化するまでには相当の原料が必要となり、コストがかかりすぎるのでは▽クサラは種が多いので種も活用してはどうか▽サガリバナも活用できるのでは―などの活発にアイデアを出し合った。

後藤社長は「デイゴそのもので収益性のあるものをつくり、それが治療費に充てられ、地域の活性化につながるような事業を考えられるようにしていきたい」と話した。

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1946年(昭和21年)11月1日に奄美大島で創刊された奄美群島を主要な発行エリアとする新聞。群島民挙げて参加した日本復帰運動をリードし、これまでにシマの文化向上・発展のための情報を伝えてきた。
現在も奄美群島の喜界島、奄美大島、加計呂麻島、請島、与路島、徳之島、沖永良部島、与論島の8島を発行対象とし、その地域のニュース・生活情報を提供。現在、奄美出身者向けに奄美のニュース(本紙掲載)を月1回コンパクトにまとめた情報紙、「月刊・奄美」も 発行している。

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