鹿児島県奄美市笠利町の県立大島北高校(松本勇二校長)の生徒有志で活動する「聞き書きサークル」が、地域の古老や名人から昔の様子を聞き取ってまとめた冊子「シマ(集落)に学ぶ~奄美市笠利町の社会・文化遺産の継承~」がこのほど完成した。昨年の奄美群島の日本復帰70周年を踏まえ、復帰運動や米軍統治下の暮らしなどを中心に取材。冊子は奄美市内の小中学校をはじめとした教育機関に配られる。
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「聞き書き」は話し手の言葉を書き起こして記録する手法。同校では、生徒たちが地域の魅力を再発見し、暮らしや文化を後世に継承することを目的に2014年から行っており、完成した冊子は9冊目。
今年度は1、2年生の希望者16人が活動に参加。5班に分かれ、奄美市笠利町の中・外金久、佐仁、笠利里前、須野、和野、節田、用安、平の8地区の19人から話を聞いた。
和野集落を担当した牧野悠汰さん(2年)、嘉江美夏さん(同)、窪田柚音さん(同)は集落の70代の男女3人を取材し、復帰運動の様子や集落の魅力や課題などを聞き取った。
牧野さんは「高齢者の方の話を動画や音声、冊子に残して若い世代に伝えていく必要性を感じた」、嘉江さんは「島口を使うとたたかれたり廊下に立たされたりしていたことに驚いた。伝統を継承していく大切さに気付いた」、窪田さんは「戦争の恐ろしさをリアルに知ることができた。高校卒業後は島を出るので、奄美のことを学ぶ機会になった」などと語り、若い世代を中心に、多くの人に冊子を手に取ってほしいと願った。
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