鹿児島県奄美市の自主文化事業「奄美十五夜唄あしび」(奄美市開発公社主催)が9月2日、同市名瀬の奄美川商ホール野外ステージであった。奄美大島の龍郷町秋名・幾里地区で地域の歌や踊りを後世に伝える活動に取り組む住民らが出演。趣深いシマ(集落)の調べを響かせ観客を楽しませた。
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イベントは昔ながらの唄あしびを再現し、伝統文化の素晴らしさを伝えることが目的。1993年に始まり、今年で26回目。
龍郷町の秋名・幾里地区では、途絶えていた古い歌の音源が昨年見つかったことをきっかけに、今年3月、有志の住民らが継承活動を開始。「八月踊り同好会」「アンマとジュウの唄あしび」と称したグループを結成し、それぞれ月1回練習している。
「座(い)り唄」で開幕。同地区に150年以上前から伝わる仕事歌「タヌ草イト」や「秋名の子守歌」などを次々と歌い、八月踊りでは、「ふうもらぶ」「きゃわんどまり」など、普段踊ることが少ない7曲を披露した。チヂン(太鼓)に合わせて男女が歌を掛け合い、活気あふれる舞いを繰り広げた。
フィナーレの六調と天草には、観客も踊りの輪に参加しにぎやかに交流を広げた。
オーストラリアから旅行で来島したというアリソン・レーベンスクロフトさんは「声に一体感があり素晴らしかった」と話した。最前列で鑑賞した福島保光さん(86)は「最高だった。昔を思い出す」と目を細めた。
継承活動の発起人、窪田圭喜さん(82)は「埋もれていた歌を復活させなければという思い。(出演を)起爆剤にこれからも活動を続けていきたい」と語った。
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