奄美の民謡、シマ唄の唄者、中村瑞希さん
中村瑞希さんは、1979年に奄美市笠利町で生まれました。小学5年生から奄美の民謡「シマ唄」を習い始め、2005年には民謡などの全国大会で優勝。奄美を代表するシマ唄の歌い手「唄者」のひとりとして活躍しています。
中村さんにとってシマ唄は宝物だと言います。
(中村瑞希さん)「自分の生まれた場所とか育った場所を確認する大事なもの。残してくれた文化があるから自分が何者かという、ちょっと難しいんですけど、どうしてこういうふうなことができているのかということを再認識できるもの。奄美の生まれたことを誇りに思える大事な宝物。」
奄美ではそれぞれの集落のことを「シマ」といい、シマが変われば同じ唄でも微妙に変化すると言います。中村さんは自分のシマ、笠利集落について。
(中村瑞希さん)「ここだったら私を支えてくれる、守ってくれるという安心感。そのままでいられる。」
自然とシマ唄を口ずさむ中村さん。その透き通った伸びのある歌声は数々のイベントで多くの人に届けられています。中村さんはシマ唄を通して奄美に恩返ししたいと話します。
(中村瑞希さん)「シマ唄を通して人のあり方や、ここを大事に思った方がいいよというのを教えてもらった。シマに寄り添いながら生きることを教えてもらったので、自分が教えてもらったシマ唄で次の世代の子どもたちに何か自分がもらった温かいものをバトンタッチできるように。」
今年、世界自然遺産への登録が期待されている故郷・奄美。中村さんは奄美の魅力を改めて考えるきっかけになればと話します。
(中村瑞希さん)「自分の身の回りにあるものは素晴らしさに気付きにくかったりする。世界自然遺産というきっかけをいただいたことで、自分たちが再認識して今度は自分たちから素晴らしいという思いを育んでいくタイミング。また大事にしていく良いきっかけになった。
(Q.中村瑞希さんにとってのあまみじかんとは?)
(中村瑞希さん)「恩返しと学びの時間です。これから先にシマ唄をやりたいという子どもがどれくらいいるか分からないし、自分が育った場所がどういう場所だったか分からなくなったりする子もいると思うんですけど、『こんなに素敵な場所だよ。こんなにすてきな文化が残っているよ』ということをいつか伝えられる材料をたくさん持てる人になりたいなと思います。」