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米宇宙企業スペースX社の衛星通信サービス「スターリンク」の実証が25日、鹿児島県瀬戸内町の請島と与路島の2島3集落で始まった。衛星通信を活用した住民サービス展開を見据えた取り組みで、自治体での導入は九州初で、同町は同日、機器設置や接続方法などについての住民説明会を実施。通信環境の地域格差の解消を進め、町民すべてが平等なデジタル化の恩恵を受けられる社会の実現を目指す。
スターリンクは地上約550キロメートルの高さにある4千機以上の低軌道衛星を通じてブロードバンド通信を提供するシステム。従来の人工衛星に比べ、地上からの距離が短く、大容量の高速データ通信が可能とされる。日本では2022年12月に通信事業大手のKDDIがサービスの提供を始めた。
請島と与路島の3集落へのスターリンク導入は、総務省の「自治体フロントヤード改革モデルプロジェクト」の一環。「行かない、書かない、待たせない」行政窓口を構築するためのインフラ整備で、24年度事業費は1075万5090円、補助対象経費は640万8000円。
現在、請島と与路島の3集落は光回線が通っておらず、LTE回線を利用しており、通信が不安定な状況。光回線整備には、国の補助事業を活用しても町の負担額が10億円以上、維持費等も1億円余りが必要と試算されており、財政的な負担から通信網の構築が困難な状況が続いてきた。
各集落の説明会では、鎌田愛人町長が「昨年9月に実施したスターリンク機器での通信試験では、LTE回線より通信環境が大幅に改善され、経費に関しても利用しやすいことを確認した」と報告し、「住民サービスの充実強化に向けた遠隔相談システムやオンライン診療、オンライン教育など、多方面での利便性の向上が期待される」と積極的な活用と導入への理解を求めた。
実証に用いられる移設式機器については、KDDIビジネスデザイン本部ソリューション九州支社の濱中淳史支社長やエンジニアらがレクチャーした。
与路地区の信島豊武区長(58)は「離島の離島に暮らす住民にとって、役場に行かなくても手続きなどができるようになるのは負担が軽減され、大変ありがたく思う」と話した。
池地小中学校と与路小中学校では、県の特定離島ふるさとおこし推進事業を活用し、固定式のスターリンクを導入する。6月中に配備される見込み。
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