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奄美の鳥たちが元気になる季節の到来です!

愛鳥週間の頃、奄美の鳥たちは子育ての真っ最中

毎年5月10日から17日は愛鳥週間です。日本本土ではちょうど新緑の季節。南の国から渡ってきた鳥たちが春を謳歌するように美声を響かせ、鳥たちの恋の季節がはじまります。なぜ、新緑の季節に鳥たちは繁殖を開始するのでしょう。この時期、新しい葉が伸びるのと前後してたくさんの花が咲きます。すると花や葉を食物にする虫たちが夏に向けて次第に増えてきます。虫を主食にする鳥たちにとっては、豊富なえさに恵まれ、生まれたヒナたちを育てるのに条件がよくなります。それを見越して巣作りや産卵を開始するのです。ところがあたたかい奄美群島では、新緑といえば3月の後半です。したがって、多くの奄美の鳥たちの卵は愛鳥週間の頃にはすでに孵化して、ヒナが出てきています。食欲旺盛なヒナを育てるために、親鳥はえさを探してさかんに動き回ります。その分、人目につきやすくなり、この時期は奄美の鳥の観察に適しています。

奄美の鳥たちが元気になる季節の到来です!

撮影:鳥飼久裕氏「森の中を歩きながら鳥を探す」

オーストンオオアカゲラやアカヒゲがねらい目

特に観察しやすいのがオーストンオオアカゲラでしょうか。国の天然記念物で、世界中で奄美大島にしか生息していない貴重なキツツキですが、比較的警戒心が薄く、ヒナにえさを運ぶときには少々近くに人がいてもほとんど気にしません。キョッキョッという甲高い声や、中の虫を探すためにコツコツと木をつつく音を頼りに探せば、かなりの確率で姿を見ることができると思います。

撮影:鳥飼久裕氏「オーストンオオアカゲラ」声がしたので待っていると、オスがすぐ近くの木にやってきた。

アカヒゲも国の天然記念物で、鹿児島県ではトカラ列島以南に生息しています。暗い森の藪などを好むため、そこそこの数がいるわりには姿を見るのが難しい鳥です。この鳥も子育てのときにはよく地面を跳ね回ってえさ探しをしています。辛抱強く待てば、この美しい鳥の姿を拝むチャンスも増えます。

撮影:鳥飼久裕氏「アカヒゲ」美しい鳥だが、なかなか明るいところへは出てこない。

撮影:鳥飼久裕氏「アカヒゲ」美しい鳥だが、なかなか明るいところへは出てこない。

夏鳥のアカショウビンもやってくる

本土と同じように奄美群島にも、南から何種類かの夏鳥がやってきます。代表的なのは大きな嘴を持ち、全身真っ赤なアカショウビン。方言名をクッカルといい、田中一村が好んで画題にしたことでも知られています。早朝や夕方、キョロロロロとよく響く声で鳴き、好物のカエルやトカゲを探します。バードウォッチャーにも人気の高い鳥ですが、奄美にはかなりたくさんの数が渡ってきます。羽の色が派手で、かなり大きな鳥なので、いればよく目立ちます。まだ涼しい明け方、森の近くを散歩すれば、会えるかもしれません。

撮影:鳥飼久裕氏「アカショウビン」地面でえさを採ったのか、嘴が土で汚れていた。

撮影:鳥飼久裕氏「アカショウビン」地面でえさを採ったのか、嘴が土で汚れていた。

鳥飼久裕(とりかい ひさひろ) NPO法人奄美野鳥の会会長

投稿者の記事一覧

1960年福岡県生まれ。九州大学理学部生物学科卒業後、出版社勤務を経て、2000年4月
に奄美大島に移住。NPO法人奄美野鳥の会の会長として、野鳥を中心とした奄美の生き物の観察や調査を精力的に行っている。本業はミステリー作家で、鳥飼否宇のペンネームで著書多数。

■奄美野鳥の会:http://www.synapse.ne.jp/~lidthi/

■奄美大島エコツアーガイド連絡協議会:https://amamiguide.jimdofree.com/

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