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「子宝の島」で命育む  徳之島で勝廣光さん=双子クロウサギを撮影

鹿児島県奄美市笠利町の自然写真家・勝廣光さん(75)はこのほど、徳之島で国の特別天然記念物アマミノクロウサギの子育てを撮影した。奄美大島で30年以上クロウサギを見守っている勝さんは、「ただカメラが好きで続けてきたことだけど、保全のためにも生態を把握することは重要。写真を通して一般の方にもクロウサギの暮らしぶりを知ってもらえれば」と語った。

巣穴から顔を出す双子の子ウサギ=2023年3月5日、徳之島(勝さん撮影)

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勝さんは1991年から奄美大島でアマミノクロウサギの生息地に通い、市販の機材や道具を組み合わせて自作した自動撮影カメラなどを使って繁殖や育児の様子を記録している。徳之島での撮影は2022年末から準備を進め、5月ごろまで通って子ウサギの誕生や親子の様子をカメラに収めた。

徳之島では1月半ばに育児行動中の巣穴を発見し、3月3日に生後40日余りとみられる双子の子ウサギの姿を確認。入り口近くで落ち葉をかじってみたり、巣穴から出て少しずつ行動範囲を広げていったりする成長の様子を捉えた。大人の雄と見られるウサギもたびたび巣に訪れており、親の可能性があるという。

勝さんは長年の観察経験から、アマミノクロウサギは森の中でそれぞれに縄張りを持ちながらも、血縁関係のある個体群が互いに近い場所で暮らしていると推測。育児用の巣穴から出始めるころの子ウサギが周囲の大人のウサギを見て食べ物を学んでいく様子なども見ており、授乳期が終わった後は母親以外のウサギが子ウサギの成長に関わっていると考えている。

クロウサギの詳しい生態は分かっていないことが多く、勝さんは「野生下での平均寿命や子どもを産む年齢など、保全を考える上でももっと真剣に知る必要がある」と指摘。徳之島と奄美大島のウサギの行動の違いにも関心があると述べ、「これからも観察を続けていく。農作物への食害など難しい問題もあるが、写真を通してアマミノクロウサギという生き物への理解を広げられたらうれしい」と語った。

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1946年(昭和21年)11月1日に奄美大島で創刊された奄美群島を主要な発行エリアとする新聞。群島民挙げて参加した日本復帰運動をリードし、これまでにシマの文化向上・発展のための情報を伝えてきた。
現在も奄美群島の喜界島、奄美大島、加計呂麻島、請島、与路島、徳之島、沖永良部島、与論島の8島を発行対象とし、その地域のニュース・生活情報を提供。現在、奄美出身者向けに奄美のニュース(本紙掲載)を月1回コンパクトにまとめた情報紙、「月刊・奄美」も 発行している。

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