1月・2月・3月
年の瀬が迫り、サンゴ礁やウミガメ、水生生物調査の調査報告書作成に追われる日々。年明けから繁殖のため大挙して来遊するザトウクジラの調査を控え、高鳴る胸を押さえつつ、キーボートを叩いています。
季節ごとの生き物たちに振り回されながら調査や観察を続けているとあっという間に一年が過ぎていきます。
4月・5月
1月から3月のザトウクジラシーズンが終わると、森ではルリカケスやオーストンオオアカゲラなどの野鳥が繁殖のピークを迎え、GW頃からウミガメも産卵が始まり、砂浜での産卵痕跡調査が始まります。奄美大島では、主にアカウミガメとアオウミガメが産卵しますが、過去にはタイマイやオサガメの産卵も記録されています。一部の浜では在来種リュウキュウイノシシがウミガメの卵を採食しているため、金属網で卵の保護対策も行います。
大島海峡や笠利湾では新種のフグ「アマミホシゾラフグ」も繁殖期に入りミステリーサークル状の産卵床が見られ、甲イカの仲間コブシメもサンゴの枝の中に卵を産みつけていきます。
6月
梅雨時期の6月の満月後にはサンゴも産卵し、夜間の潜水調査が続きます。
7月以降
梅雨が明けると台風や海水温の上昇を気にしつつ、サンゴ礁のモニタリング調査を始めます。1998年に発生した大規模なサンゴの白化現象や2000年から2008年にかけてのオニヒトデの大発生により、サンゴは被害を受けましたが、現在、サンゴは回復期にあり、多くの海域で極上のサンゴ群集が見られるようになりました。
近年、アオウミガメの生息数も増加し、ウミガメと泳げるシュノーケリングも人気を集めています。夏から秋にかけては、同時進行で河川での外来種調査にも取り組んでいます。奄美大島の河川には、リュウキュウアユ等の希少種も多く生息しますが、河川によってはティラピアやコイ、淡水ガメなどの移入種も生息しているため、捕獲調査を行っています。
今年は奄美群島各島でのサンゴ礁調査や与論島での外来種シロアゴガエル分布調査、徳之島での危険生物ウンバチイソギンチャク調査など例年以上に群島各地に出向きました。年度末の各種報告書締め切りに怯えつつ、年明けからのザトウクジラとの出会いを楽しみにしています。