黒糖は奄美ではとても身近な食べ物で、普段からよく食べられています。料理やお菓子の材料としてだけではなく、お茶受けとしてそのまま食べたりもするのが島のたしなみ方。
そんな黒糖の歴史ですが、鹿児島薩摩藩の統治下にあった奄美群島は米の代わりに黒糖で年貢を納めており、その原料であるサトウキビの栽培が米よりも優先されていました。一時は島民の食べる米すらない時代もあったといいます。それほどまでに重宝された奄美の黒糖、その製造工場にお邪魔させていただきました。
奄美空港から名瀬方面に車で10分ほどの場所にある奄美きょら海工房さん。目を引く真っ白な建物にはイタリア料理が楽しめるフランドールカフェも併設されていて地元の食材を使用したパスタやピザが楽しめるようになっています。
店内にはカフェ以外にもスイーツや手作りのパンが販売されていて、こちらの製糖所でつくられた黒糖を使ったスイーツなども販売されています。
お店の外ではフレッシュなサトウキビジュースも飲むことができ、その場でサトウキビをまるまる絞ってもらうことができます。
竹のような見た目のサトウキビですが絞るとこんなに水分があることに驚きました。ただ絞るだけで濃厚な甘味を感じられるジュースになります。
黒糖の材料のサトウキビですが、通常サトウキビの収穫時期は12月から3月くらいまでで、多くの製糖所ではその時期にのみ生産しているところが多いです。いつも作りたての黒糖を味わって欲しいという思いから、こちらの製糖所では一年を通して黒糖を生産しているそうです。収穫シーズンである冬場は提携した農家さんからサトウキビを買いとり、夏場は自社の畑でつくった無農薬栽培のサトウキビを使っているそうです。
そのサトウキビも新鮮さにこだわり、収穫してすぐのものを使っているそうで、絞るたびにジューシーな果汁がどんどん出てきます。絞り機にかけてできた果汁を大釜にうつして煮詰めていきます。
グツグツと1時間ほど煮詰めたら浮いてくるアクをすくっていきます。
この段階になると黒糖のいい香りが辺りにたち込めてきて、工場のなかは熱気と湯気ですごいことに。夏場の作業は大変だろうなと思いました。
3時間ほど煮詰めると水分も抜けてきてドロドロとした感じになってきます。
この状態のものを攪拌機に入れてよく混ぜながら冷ましていきます。
トレイに流し込むとすぐに固まって板チョコのような状態の黒糖の出来上がりです。
砕いたかけらを味見させてもらうと、まだほんのりあったかくて口の中でホロホロ砕け、とても優しい甘さがしました。
甘いだけでなくコクや風味も絶品の奄美の黒糖、是非召し上がってみてください。
奄美きょら海工房
- 鹿児島県奄美市笠利町用安フンニャト1254-1
- レストラン 11:00〜19:00
- お土産 9:00〜19:00
- 電話:0997-63-2208
- ホームページ http://kyora-umi.com/