旧暦8月15日に当たる9月29日、鹿児島県大島郡瀬戸内町油井集落(永井卓郎区長、30世帯50人)で、2019年以来4年ぶりの豊年祭が行われ、県の無形民俗文化財「油井の豊年踊り」が奉納された。集落の守り神「イビガナシ」があるミャーと呼ばれる広場の土俵周りで、紙面(カミメン)姿の踊り手たちが「土俵祓(ばら)い」や「稲刈り」などユニークな演目を次々に披露。年間最大の集落慰安日を楽しんだ。
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午後2時に「綱切り」からスタート。広場の隅には長さ約30メートル、直径10センチのわら綱が置かれ、ほら貝を吹く力士や住民が東西から引き合うと、鎌を手にしたシシが現れ綱を切断。カメラを手にした大勢の見物客が見守り、盛り上がった。
土俵上の厄を払う「土俵祓い」や豊作を喜ぶ「稲刈り」などでは、紙面を付けた踊り手が、無言の劇風に体を揺らし表現。シシが女性を襲う「玉露カナ」では、シシ役に襲われた集落の幼児らが悲鳴や歓声を上げて喜んだ。盲目の座頭が酔っぱらう「ガットドン」ではユニークな演技に会場からは笑い声が起きた。
油井の豊年踊り保存会の岡野弘明会長(70)は「油井に伝わる伝統を今に伝えようと練習してきた。本当に楽しい。多くの人に見てもらえて元気をもらえる」と笑顔。
永井区長は「4年ぶりに本来の姿で油井の豊年祭ができてほっとしている。油井の歴史と文化をこれからも次の世代につないでいきたい」と話した。
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