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島中安寧、コロナ収束願い舞う 与論十五夜踊を奉納

旧暦8月15日に当たる10月1日、鹿児島県与論島の地主神社境内で、国の重要無形民俗文化財「与論十五夜踊」が奉納された。今年は7月に発生した新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)の影響で、島内外には広報せず関係者のみで実施。飲食や飲酒も自粛されたものの、参加者たちは無事開催できたことを喜び、島中安寧と一刻も早い新型コロナの収束を願った。

与論十五夜踊り保存会(黒田茂實会長)によると、与論十五夜踊は1561(永禄4)年に、与論領主が島民慰安のために創らせたのが始まりとされる。踊りは1番組と2番組で構成され、室町時代の狂言風の舞踊や、琉球風の舞踊が見られる芸能史上で貴重なものとされている。

1日は好天に恵まれ、午後4時すぎから演目が始まった。黒いスカーフのような頭巾(シュパ)をかぶり、顔を覆った2番組の演者は「あーみたぼーり/たーぼーり/しーまがぶーどぅゆーがーぶ(雨が降りますように/島が豊作で世の中も心も豊かになりますように)」と「雨賜り」を演じた。

与論十五夜踊は旧暦の3月、8月、10月の15日に行われるが、8月15日が最大の祭りで、獅子舞と大綱引きも奉納される。獅子が現れると会場は大いに盛り上がり、歓声が響いていた。

山元宗町長は「この島はこれまでも疫病に悩まされてきたが、力を合わせて乗り越えてきた。新型コロナ発生後も誹謗中傷もなく温かく島民を迎えてくれた地域の方々に、島の誠の気持ちが表れている。これからも誠の心を大切にして発展していきたい」と語った。

南海日日新聞〔写真〕与論十五夜踊の演目の一つ、「三者囃子(さんばすう)」。破れ傘を買わされた家来(写真右)と、それをたしなめる大名(写真左)のユニークな踊り=1日、与論島の地主神社

南海日日新聞〔写真〕与論十五夜踊の演目の一つ、「三者囃子(さんばすう)」。破れ傘を買わされた家来(写真右)と、それをたしなめる大名(写真左)のユニークな踊り=1日、与論島の地主神社

南海日日新聞〔写真〕会場を盛り上げた「獅子舞い」=1日、与論島の地主神社

南海日日新聞〔写真〕会場を盛り上げた「獅子舞い」=1日、与論島の地主神社


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1946年(昭和21年)11月1日に奄美大島で創刊された奄美群島を主要な発行エリアとする新聞。群島民挙げて参加した日本復帰運動をリードし、これまでにシマの文化向上・発展のための情報を伝えてきた。
現在も奄美群島の喜界島、奄美大島、加計呂麻島、請島、与路島、徳之島、沖永良部島、与論島の8島を発行対象とし、その地域のニュース・生活情報を提供。現在、奄美出身者向けに奄美のニュース(本紙掲載)を月1回コンパクトにまとめた情報紙、「月刊・奄美」も 発行している。

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