オオトラツグミ一斉調査
鹿児島県奄美大島だけに生息する国の天然記念物の野鳥オオトラツグミの一斉調査が22日、島を縦断する奄美中央林道などであった。島内外から134人が参加。鳴き声を聞き取って生息状況を調べた結果、同林道では過去2番目に多かった昨年と並ぶ102羽を確認した。調査を行ったNPO法人奄美野鳥の会は「森林環境が維持され、順調に回復している」としている。
同会はオオトラツグミの生息状況の把握と保護を目的に1994年から毎年、繁殖期の3月を中心に行政やボランティアの協力を得て調査を実施。今年で27回目。確認数が最も多かったのは2016年の106羽。
一斉調査は奄美市名瀬から宇検村までの奄美中央林道と支線など約45キロで実施。参加者らは2、3人1組に分かれて、夜明け前の午前5時半に調査をスタート。約1時間でそれぞれ往復4キロを歩いてオオトラツグミのさえずりに耳を澄ませた。「キュロロン」という鳴き声を確認すると、方角や時間を地図に記録した。
鹿児島市の増田久美子さん(45)は夫の転勤で3年前に奄美を離れたが、調査には毎年参加している。「朝の森は気持ちがいい。かわいい鳴き声がすぐ近くで聞こえてよかった」と笑顔で話した。
新型コロナウイルス感染症の影響で、島内4会場で予定していた事前説明会は施設の休館に伴い中止し、初参加者には同会事務所で調査方法を説明した。島外からのボランティアは減少したが、地元住民の新規参加者が増えたことで、例年通りの調査規模を維持できたという。
同会の鳥飼久裕会長(60)は「島の人が頑張ってくれたおかげで調査はつつがなく終わった」とほっとした表情。回復傾向が続くオオトラツグミの調査結果を受けて、「奄美は自然の復元力が強い。(個体数が増加して)数え切れなくなるような状態を目指して続けていきたい」と話した。
オオトラツグミは同島の原生的な照葉樹林内に生息。全長約30センチ。全身に黒や黄色の三日月斑、黄斑がある。戦後の森林開発などで生息数が減少し、環境省のレッドリストで絶滅危惧2類。1993年に種の保存法に基づく国内希少種に指定し、保護している
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