鹿児島県奄美市名瀬の奄美海洋展示館は4月25日、飼育していた6歳のアオウミガメを放流した。2017年夏に大浜海浜公園でふ化後、陸で衰弱していたところを保護された個体。遠足で同館を訪れていた奄美小学校(中村勝校長)2年生の児童59人が立ち合い、「また会おうね」「元気で大きくなってね」と声を掛けながら旅立ちを見守った。
海洋展示館では、けがをしたり孵化直後に弱ったりしたウミガメを保護し、体調や成長の様子をみながら年に1~3頭ほどを放流している。今回放流した個体は甲羅の長さ約60センチ、重さ約30キロ。放流の前に同館学芸員が▽大人になるまでに30年ほどかかる▽性別はまだ不明▽成熟すれば産卵のために帰ってくる可能性がある▽前脚のタグで個体識別されている―などと説明した。
児童や職員の「頑張れ」「また帰ってきてね」という大声援の中、カメは真っすぐに浜辺を進んで海へ飛び込み、何度か息継ぎをしたあと見えなくなった。
同小の児童は「(カメは)大きくてかわいかった。水槽から海に帰れてうれしい。また会いたい」と笑顔。海洋展示館の髙村洸介学芸員(26)は「ウミガメを通して島の子どもたちが地元の海の豊かさや大切さを感じ、将来自分たちの海を大事にしたいという気持ちを持ってほしい」と話した。