自然

負傷ルリカケス、元気に野生復帰 奄美大島=交通事故か、早めの保護で回復

けがをして動けなくなっていたところを保護された国の天然記念物「ルリカケス」が10日、発見場所の鹿児島県奄美市笠利町で自然に帰された。約1カ月の治療とリハビリを終え、無事に回復。治療した龍郷町の奄美いんまや動物病院の伊藤圭子獣医師がキャリーケージを開けると、美しい瑠璃色の翼を広げ、飛び立っていった。

ルリカケスは3月12日、奄美市笠利町の県道そばで飛べなくなっているところを住民が発見。連絡を受けた県大島支庁の職員が保護し、伊藤獣医師の元へ運ばれた。左翼の一部を骨折していたものの、患部を固定し自然治癒に近い形で順調に回復。食欲も旺盛で、好物の落花生の殻を器用にむいて食べ、体力も取り戻した。

伊藤獣医師は「発見現場やけがの状況から考えて、交通事故にあった可能性が高い。繁殖期で忙しなく活動していたのでは。保護されても、野生復帰できる個体は3~4割程度。早めに発見されたので野生復帰することができてよかった」と安堵(あんど)の表情。「奄美では野生の生き物たちはとても身近な存在。道路のカーブなどで生き物と出くわすことも多い。交通事故はどこでも起こり得ることを意識してもらえたら。もし事故を起こしてしまったり、けがをした個体を発見したときは、すぐに自治体や環境省、動物病院へ連絡してほしい」と話した。

伊藤獣医師の元には現在、奄美市住用町で粘着シートに絡まり動けなくなっていた国指定天然記念物「アカヒゲ」も保護されている。骨折と脱臼で野生復帰は望めないため、動物園など適正な飼育が可能な施設への移管を調整している。

いんまや動物病院で保護されているアカヒゲ

伊藤獣医師によると、ネズミ捕りなどの粘着シートに絡まった虫を食べようとして、野鳥がシートにくっついてしまう事例もある。「小さな鳥は無理に剥がすと羽が抜けてしまったり、余計にけがをしてしまうこともある。発見した場合はそのままの状態で運んでほしい」と呼び掛けている。

伊藤圭子獣医師が開いたキャリーケースから飛び出す、けがから回復したルリカケス=10日、奄美市笠利町

南海日日新聞

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1946年(昭和21年)11月1日に奄美大島で創刊された奄美群島を主要な発行エリアとする新聞。群島民挙げて参加した日本復帰運動をリードし、これまでにシマの文化向上・発展のための情報を伝えてきた。
現在も奄美群島の喜界島、奄美大島、加計呂麻島、請島、与路島、徳之島、沖永良部島、与論島の8島を発行対象とし、その地域のニュース・生活情報を提供。現在、奄美出身者向けに奄美のニュース(本紙掲載)を月1回コンパクトにまとめた情報紙、「月刊・奄美」も 発行している。

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