本場奄美大島紬協同組合(牧雅彦理事長)はこのほど、所蔵する最古の反物の柄を復刻させたオリジナルの大島紬を完成させた。復刻柄による生産は紬協組初の試みで、日本きものシステム協同組合(JKS、本部京都、武内孝憲理事長)の依頼を受けて製作。10月26日、奄美市名瀬の産業支援センターで納品の式典があり、精巧な技術で復刻された微細で美しい仕上がりにJKS関係者からは歓喜の声が上がった。
復刻柄のプロジェクトは、2021年の紬協組創立120周年に伴う事業の一環。全国47社の呉服専門店が加盟するJKSが、産地の活性化や後継者育成などを目的に紬協組へ発注し、図案から製織、点検まで約1年かけて製作された。〝大島らしさ〟を残しつつ、現在の市場にはない柄行が特徴。復刻柄については文献の記載がなく、詳細は不明だが、約100年前のものとみられる。
JKSの武内理事長(50)は「伝統の中にも新しいにおいが織りなされ、すごく美しい。細かな柄を織れる技術者が減ってきていると聞き、今後は訓練生にも復刻柄を手がけていただき、小売店という立場で産地に還元、支援ができる関係性を築いていきたい」と話した。
紬協組の牧理事長(65)は「試行錯誤しながらの製作となったが、非常に良い出来栄え。今回限りでなく、2回、3回と発注をいただき、作り手と売り手の交流を広げていけることを願う」と期待した。
今回の受注は全16反。既に8反が仕上がっており、11月中にはJKSへ全反が納品される予定。
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