鹿児島県奄美大島では旧暦8月最初の丙の20日は「アラセツ(新節)」と呼ばれ、稲の収穫に感謝し次の豊作を祈る祭り日。国の重要無形民俗文化財に指定されているアラセツ行事を受け継ぐ龍郷町秋名・幾里の各家庭では、前日の「ツカリ」となる19日、屋敷を守るコウソガナシ(先祖の神)に膳をお供えし、家内安全を祈った。
秋名・幾里のアラセツ行事は、アラセツ当日の早朝に、稲の豊作を願い小屋を男衆が倒す「ショチョガマ」や、夕方に海のかなたの神々に祈る「平瀬マンカイ」がある。今年は新型コロナウイルスの感染防止のため、ショチョガマは中止に。平瀬マンカイは無観客で20日に行われる。
19日の夕方、肥後サツさん(93)宅では、5人の先祖を祭る意味で五つの赤飯やお茶が並び、サトイモや昆布などの煮物料理やジヌユ(地魚)の揚げ物、ミキ、果物などの料理も供えられた。
肥後さんは「毎年アラセツが来ると空気が澄み、祭りの季節が来たとわくわくする。今年はコロナで中止され残念だが、これ(ツカリの日の祈り)だけはやめるわけにはいかない」と話し、「家内安全と子どもの健康をお守りください」とコウソガナシに手を合わせた。
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