鹿児島県沖永良部島・知名町正名集落のニシムドゥル海岸で6月10日、住吉小学校(牧口廣久校長)5、6年生21人を対象とした塩づくりの体験学習があった。児童らは集落の高齢者から体験談も聞き、先人の知恵や苦労を学んだ。
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「正名字沿革誌」(同誌編纂委員会編)や住民の話によると、同集落では奄美群島の日本復帰(1953年)前まで塩作りが行われていた。海水をおけにくんで岩壁に何度も打ち付け、水分を蒸発させて塩分濃度を高めた後、大鍋で炊いて塩にした。当時は家族総出で海岸に寝泊まりし、昼夜を問わず作業を行ったという。
体験学習では同集落の村上清さん(83)が講話。昔の人は靴もなく、はだしで岩場を歩いて海水や出来た塩を運んだ事、米作りが盛んな集落まで行って塩を米と交換していた事などを伝えた。児童からの「なぜ塩作りをしたのか」との問いには、「昔は食べ物がなく、生活を支えるためだった」と答えた。
塩炊き工程の体験後は、海岸に特設したかまどで米を炊き、塩おにぎりを作って試食。子どもたちは出来たての塩とごはんの味に満足した様子で、児童らは「いつも使う塩より辛かったが、おにぎりにして食べるとおいしかった」「海水から塩ができるのを初めて知った。昔の人は大変だったなと思った」と話した。
同海岸には2022年11月、住民有志によって塩作りの歴史を伝える記念碑が建立された。体験学習の実施は初めてで、この日は碑建立に関わった住民や保護者など約20人が協力した。西登美勝区長(62)は「学校と連携し、今後は毎年塩作りの歴史や先人の苦労を伝えていけたら」と話した。
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