夜間利用、35台の日も 三太郎線、利用ルール導入へ
夜間に野生生物を観察するナイトツアーの増加を受けて、環境省は7月、鹿児島県奄美市住用町の市道三太郎線で利用状況調査を開始した。夜間に通行した車両台数(11月末現在、速報値)は8月27日に最多の35台を記録。期間ごとの1日平均台数は8月後半が最多の23・4台だった。同省奄美群島国立公園管理事務所は18日、利用ルールの導入に向けた地元住民との意見交換会を同町の西仲間公民館で開いた。住民から生き物への影響を懸念する声や、ガイドや観光客にマナー改善を求める意見が相次いだ。
三太郎線(同町摺勝―西仲間、延長約11キロ)は三太郎峠(約343メートル)を迂回(うかい)し、麓の西仲間、東仲間両集落を結ぶ旧国道。峠の頂上を通って奄美中央林道に至る市道スタル俣線(同町神屋、同約6・2キロ)と接続している。
峠一帯は国の特別天然記念物アマミノクロウサギなど希少種や固有種も多く、来年夏の登録を目指す奄美・沖縄の世界自然遺産推薦区域が含まれる。夜間にさまざまな生き物が見られることから、近年ナイトツアーの人気が高まっている。
利用状況調査は、三太郎線にカウンター2台を設置して実施。夜間に通行した車両の1日平均台数は全体で13・6台。最多の8月後半に続いて同月前半が18・1台、9月前半が16・5台だった。時間帯では午後7~11時の利用が多かった。
意見交換会には地元住民ら14人が参加。三太郎線の利用について、家族が帰省したときなどにクロウサギを観察に行くという人が多く、通行を巡って観光客を案内するガイドとトラブルが起きたという声もあった。
利用ルールの導入について、「今まで通り子や孫が帰って来たときにクロウサギを見せたい」「地元住民が優先して利用できるようにステッカーを作ってほしい」という要望があった。野生生物の交通事故防止へ啓発看板の増設を求める意見も出た。
西仲間集落の紀元三好区長(67)は「クロウサギは奄美の象徴。増えたと聞いてうれしい。守るために速度制限などのルールは必要だと思う」と話した。
同事務所の千葉康人世界自然遺産調整専門官は「地元の人の声をよく聞いた上で、早急にルールをまとめたい」と述べた。意見交換会は19日に同町の東仲間公民館でもあった。
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