鹿児島県奄美群島の日本復帰を記念して1953年に東京から訪れた祝賀使節団の児童と、歓迎した名瀬小学校の児童との長年の交流を描いた絵本「はるかな友へ 奄美の日本復帰と子どもたち」(南方新社)がこのほど出版された。作者の井上由利子さん(68)=神奈川県鎌倉市=ら関係者が12月4日に同校を訪問し、児童たちに絵本50部を贈呈した。
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名瀬小には復帰直前の53年12月5日、講談社の雑誌「少年クラブ」の企画で中村小(東京都練馬区)の児童2人が来校。このときの交流会に参加した、当時名瀬小6年生の島岡稔さん(82)=神奈川県鎌倉市=は40年後の93年に2人と再会。これをきっかけに、97年から名瀬小と中村小の交流が始まった。
絵本はB5判48ページでオールカラー。物語は祝賀使節団の一人、故高橋孝泰さんが息子の史明さん(51)=埼玉県所沢市=に奄美での思い出を語るところから始まる。一枚の記念写真が手掛かりとなり島岡さんと再会したことや、当時の体験、現在まで続く両校の交流などを温かなイラストと文で表現している。
4日は島岡さんや史明さんも来校し、贈呈式には5、6年生が出席。井上さんが代表児童に絵本を手渡した。北原徳真君(6年)が「本を作ってくださりありがとうございます。大切に読みます」とお礼の言葉を述べた。
井上さんは友人の島岡さんの経験を聞き「奄美の歴史を初めて知り、語り継がなければと思った」と絵本制作のきっかけを語った。史明さんは「奄美を追いかける中で父の人物像が分かりすごく縁を感じた」と感慨深そうに話した。
島岡さんは「子どもたちでも分かりやすく読めるのでうれしい。70年前の出来事だが、人と人の縁はつながっていく。(学校同士の)交流も続いてほしい」と期待。上村英樹校長は「絵本を読んだ児童たちに、奄美の歴史や友情の大切さを感じてもらえれば」と話した。
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