奄美・沖縄の世界自然遺産登録から1年を迎えた7月26日、環境省が鹿児島県奄美市住用町に整備した「奄美大島世界遺産センター」がオープンした。現地で記念式典や関係者へのお披露目会があり、環境保全と観光利用の拠点となる施設の誕生を祝い、〝世界の宝〟の継承へ誓いを新たにした。午後3時からの一般公開には多くの親子連れなどが訪れ、奄美の森を再現した展示など施設の見学を楽しんだ。
記念式典には約50人が出席。主催者を代表して中川康洋環境大臣政務官が「奄美大島の森を体感的に学んでもらい、生物多様性豊かな自然の価値を伝え、守るための行動を促す施設。オープンを契機に、島の宝を将来世代に引き継ぐことができるように、関係者といっそう尽力していく」とあいさつした。
環境省奄美群島国立公園管理事務所の阿部愼太郎所長が施設の概要を説明し、テープカットでオープンを祝った。午後のお披露目会には地元関係者約40人が参加。くす玉開きに続いて施設を見学した。
展示は奄美の森を再現したジオラマに、希少な動植物の剝製や模型を配置。観察装置を使って生き物を探すと、動画で生態などが解説される。壁面の大スクリーンに映し出される映像や音響と併せて、季節や日夜で移り変わる自然を疑似体験できる。
展示室の入り口通路には、龍郷町在住の絵本作家・ミロコマチコさんのイラストが描かれ、奄美の自然の成り立ちを紹介している。
一般公開とともに、多くの来場者でにぎわい、カメラやスマートフォンを手に知っている生き物を探したり、カエルや鳥の鳴き声に耳を傾けたりと、本物の森の中を歩いているように散策を楽しんでいた。
くす玉開きに参加した奄美市内在住の小学6年生の姉妹は「森の1日の移り変わりを映している大きなスクリーンが面白かった」「入口の(ミロコマチコさんの)絵が迫力があって印象に残った」とそれぞれ感想。姉妹の母親(50)は「奄美大島にどんな生き物がいるのかが一度に分かるので勉強になる。雨の日に来られるのもうれしい」と笑顔を見せた。
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