鹿児島県徳之島・伊仙町歴史民俗資料館主催の講習会「徳之島のいろは」が6月18日、同町総合体育館であった。講師に仙田綾乃さん(53)=龍郷町=を招き、かつて奄美や沖縄の女性が手に入れ墨を入れていた「針突(ハジチ)」という風習について学んだ。
仙田さんは看護実習生の頃、ハジチをしていた高齢の女性と出会って興味を持ち、独学でハジチについて学び始めた。現在、植物性の染料を用いて身体に入れ墨のような模様を描く「ボディーアート」を手掛けており、奄美大島を拠点に活動している。
仙田さんは文献や資料を引用してハジチについて紹介した上で、当時の女性がハジチをしていた理由について「既婚者の証しだったり、魔よけだったりと地域によって理由はさまざま」と説明。明治政府が入れ墨禁止令を出して以降は差別や偏見を受ける原因となった負の側面があったことも伝えた上で、「ハジチには自身のアイデンティティーやおしゃれへの憧れなど当時の女性たちの思いや価値観が込められている」と自身の考えを述べた。
受講者らは、渦巻きや星型などハジチに用いられている模様それぞれに意味が込められていることも学び、実際に自身の手に模様を描く作業も体験した。9歳の息子と受講した40代女性(同町在住)は「いざ描いてみると難しい。当時の女性たちがどんな思いでハジチをしていたかを考えると興味深い」と感想を述べた。
「徳之島のいろは」は町の地域の特色ある埋蔵文化財活用事業の一環。今年度は全5回の講座が予定されている。同日は、新型コロナウイルスの影響で延期していた第1回講座の「勾玉(まがたま)づくり」も開催され、2講座で計約50人が受講した。
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