やぐらの上から投げられるそうめんを老若男女が奪い合うシマ(集落)遊び「ソーミンガブー」が10月27日夜、鹿児島県喜界町の中里集落の旧公民館前広場であった。
ソーミンは島の方言でそうめん。中里のシマ遊びの最後を飾る伝統行事で、その日のうちにそうめんを食べると無病息災が約束されるとの言い伝えがある。中里のシマ遊びはウヤンコー(高祖祭)の2日後に行われ、昼間は八月踊りや奉納相撲を行い、豊作や無病息災を祈願する。
午後7時、旧公民館前には多くの人々が集まり、そうめんが投げられるやぐらの上に注目。同集落の青壮年グループ中里まりろう会(野間弘也会長)の会員が勢いよくそうめんを投げると、集まった人々は「こっちに投げて」と両手を伸ばし猛アピール。この日は他人のものを奪ってもいいとの無礼講もあり、会場はそうめん争奪戦の熱気に包まれた。
野間会長は「集落の活気が戻ったように感じた。コロナ禍による中断を経て昨年ようやく再開し、続けて2年実施できたことで、集落の人たちのつながりも以前より強くなったように思う。伝統行事をつないでいく意義を改めて実感し、うれしく思った」と語った。
写真撮影に訪れた同町小野津の吉行秀和さんは「私も見るのは初めてで、会場の熱気に驚いた。観光ツアーなどで島外海外からも参加しているようだった。1、2歳くらいの小さな子から年配の方まで多くの人が楽しんでいるのが伝わってきた」と話した。
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