鹿児島県龍郷町の複数の集落で25、26の両日夜、伝統の「種下ろし」が行われた。住民らが家々を回り、踊りの輪をつくって家内安全や集落の繁栄を祈願した。
翌年の豊作を祈り、1年を締めくくる稲作行事。今年は種下ろしの時期と衆院選の投開票日が重なったことから、一部の集落は祭りを11月に延期した。
かつては集落内のすべての家を回って夜通し踊り明かしたというが、現在は公民館や新築の家などを中心に数軒で踊るのが一般的となっている。
龍郷集落(國分邦一区長)では25日、午後7時半に新築宅で踊りをスタート。計4カ所で男女が輪になり、チヂン(太鼓)のリズムに合わせて「今の踊り」「あらしゃげ」など7~8曲を歌い踊った。
寄付(ハナ)の披露に六調が続き、熱気は最高潮に。龍郷小学校の児童らも踊りの輪に加わり、活気あふれる手舞いを繰り広げた。
今年4月に同集落に家を新築した内野竜太さんは(49)は「子どもたちが島を出るまであと何年一緒にいれるかと考え、この場所に家を建てようと決めた。集落の方々にこうしてお祝いしていただいてうれしい。感無量」と目を細めた。
國分区長(76)は「種下ろしは集落のメインイベント。これを待っていたかのようにみんな生き生きしている」と笑顔で話した。
同町では11月2日から3日までの間に円、安木屋場、久場、川内、手広、赤尾木、9~10日に中勝で種下ろしがある。
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