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漂着軽石を土壌改良に 伊仙町の珈琲園、厄介者を活用

 小笠原諸島の海底火山から噴き出したとみられる大量の軽石が奄美群島各地に流れ着いている問題で、鹿児島県徳之島のコーヒー農園で軽石を土壌改良に利用しようという試みが始まっている。仕掛け人は宮出珈琲園の宮出博史さん(45)。4日は伊仙町犬田布中学校の生徒7人が軽石の塩分除去や畑の土に混ぜる作業に協力。海を越えてやってきた〝厄介者〟を資源に変えようと汗を流した。

 徳之島では先月18日までに全域の海岸で軽石の漂着が確認された。特に太平洋に面している徳之島町の中部から北部の海岸に大量に漂着し、漁港や漁船が使用不能になるなど影響が出ている。

 宮出さんは大阪府出身。2007年から徳之島町でコーヒー栽培を始めた。18年から21年まで伊仙町の地域おこし協力隊員を務め、現在は両町の農園でコーヒーを栽培している。

 以前から農園の土壌改良の必要性を感じていた宮出さんは、軽石の漂着を知って活用を思い立った。「徳之島では収穫期の2~3月に雨が多く、コーヒーの実の品質劣化がみられる。軽石を混ぜて畑の水はけが良くなれば改善される可能性がある」と説明する。

 軽石は徳之島町諸田のシンデ浜に流れ着いたものを約10日間かけて土のう袋約300袋分を集めた。塩害を起こす可能性があるため、土のう袋ごと水に漬けて塩分を抜いて、乾燥させてから肥料とともに土に混ぜるという。

 犬田布中の生徒らは総合的な学習の時間を活用して協力。軽石と肥料を混ぜた畑にコーヒーの苗を植え付ける作業も体験した。生徒の一人は「農業の役に立てられれば軽石も資源になる。苗が元気に育っておいしいコーヒーになってほしい」と笑顔を見せた。

 宮出さんは「塩分の影響を比較するために塩抜きをしない軽石も畑に入れる予定。問題がなければ畑に混ぜることで軽石の処理費用の軽減にもつながる」と話し、「収穫にどんな影響が出るかは4~5年先の話だが、きょう手伝ってくれた生徒たちが農業に興味を持ってくれたらうれしい」と期待を込めた。

南海日日新聞〔写真〕生徒と談笑しながら作業をする宮出さん=4日、伊仙町伊仙

南海日日新聞〔写真〕軽石の塩分除去を手伝う犬田布町の生徒=4日、伊仙町伊仙

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1946年(昭和21年)11月1日に奄美大島で創刊された奄美群島を主要な発行エリアとする新聞。群島民挙げて参加した日本復帰運動をリードし、これまでにシマの文化向上・発展のための情報を伝えてきた。
現在も奄美群島の喜界島、奄美大島、加計呂麻島、請島、与路島、徳之島、沖永良部島、与論島の8島を発行対象とし、その地域のニュース・生活情報を提供。現在、奄美出身者向けに奄美のニュース(本紙掲載)を月1回コンパクトにまとめた情報紙、「月刊・奄美」も 発行している。

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