鹿児島県奄美大島だけに天然の個体が残る絶滅危惧種のリュウキュウアユが産卵の最盛期を迎え、奄美市住用町の川内川中流には数百匹の群れが見られた。日没前後、複数の雄が雌を追尾。挟み込むように川床の砂利に潜って産卵、放精し、新たな命を育んでいる。
4日午後5時半ごろ、奄美海洋生物研究会の興克樹会長が撮影した。11月下旬から観察を続け、今月3日に産卵を確認。現在、ピークを迎えている。遡上(そじょう)数は昨年より多いという。
奄美大島自然保護協議会の委託事業でリュウキュウアユが生息する河川の水生外来生物(コイ、ティラピアなど)の捕獲調査に取り組む同研究会。興会長はリュウキュウアユについて「繁殖を終えるとほとんどの個体は死んでしまうが、来春には多くの稚魚が遡上してくると期待している」と話し、「冷たい川で力強く営まれているリュウキュウアユの繁殖行動を通じて、本来あるべき奄美大島の河川環境の保全について考えていただけたら」と語った。
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