奄美博物館の館長で奄美の歴史や文化を研究している高梨修さん
(奄美博物館高梨修館長)
「奄美社会は、いろんな意味でこれからの日本社会のモデルになる地域なのではないかと、強く思っています」
奄美博物館の館長、高梨修さん59歳です。東京都出身で、大学に在学中、沖縄の歴史に興味を持ち始め、沖縄の理解を深めるにはその北にある島々を知る必要があると考え、1992年には奄美大島へ移り住みました。
(奄美博物館高梨修館長)
「あまりにも奄美の分からないことが多くて、これは自分で腰を据えて調査をやって、自分の目で確かめてみるしかないと思った」
移住後は、奄美市の学芸員として遺跡の調査などに関わってきた高梨さん。琉球や薩摩、アメリカ軍など外部からの統治が繰り返されてきた奄美の歴史を独自の視点で分析しています。
(奄美博物館高梨修館長)
「奄美が確かに外部の行政的な政治的な権力に行政的な統治を受けているという歴史が、確かにそれを繰り返してきてるんですけどそれは見方を変えれば、奄美は価値があるからこそ、統治をしなければいけないし必要な地域だからこそ統治が繰り返されたという見方もできる」
高梨さんは、2年前に奄美博物館の館長に就任しました。去年8月には、奄美の四季を感じられるようリニューアルしました。
(奄美博物館高梨修館長)
「奄美の良さというより、奄美のすばらしさをもっと博物館という場を通して、発信できればというふうに思っている。すごい可能性がある地域だなということを、奄美に住めば住むほど力強く感じている」
奄美に住み始めてからおよそ30年。3人の子どもは奄美を離れましたが、奄美で子育てができて本当に良かったといいます。
(奄美博物館高梨修館長)
「子どもが生まれたときに夜泣きがひどくて(中略)隣の方に『毎晩子どもがギャーギャー泣きわめいてすいません』と声を掛けたら(中略)『あなたね子どもに泣き声というのは地域の宝なのよ』あの言葉ってすごい感動しましたね」
奄美の良さを肌で感じながらも期待されている世界自然遺産の登録については、奄美の観光振興には、沖縄との差別化が必要と厳しい見方も。
(奄美博物館高梨修館長)
「奄美のことをもっとみんなできちんと勉強して理解して、奄美と沖縄を差異化させることを観光の戦略としても持ちえないと、全部沖縄に吸収されてしまうのじゃないかという危惧は持っています」
およそ30年にわたって、奄美の歴史や文化を調査し続けている高梨さんにとってのあまみじかんとは・・・
(奄美博物館高梨修館長)「いつも自分と向き合う時間で、自分が生まれ育った地域と奄美のことを、いつも比べて考えている時間だったような気がします。奄美の良さを住めば住むほどかみしめる時間」