東京のIT企業に籍を置きながら家族で奄美大島に移住した加藤真守さん
加藤真守さん「娘が生まれて娘が大人になる時間は限られていると感じていた。18ぐらいまでの時間の中を仕事メインで動きまわってあんまり一緒に過ごせないまま勝手に大人になられるよりは大人になっていく子どもに寄り添ってあげたい」
兵庫県神戸市出身の加藤真守さん(35歳)です。高校卒業後、東京で10年あまりコンピューターのエンジニアとして働いていました。
その後、現在勤務しているIT系マーケティング会社に転職し結婚しましたが、夫婦共に仕事で忙しく、一緒にすごせる時間が少なかったといいます。
そんな生活を変えようとおととし、南の島への移住を決意しました。
「移住しようと思ってこれから準備を始めようと思うので辞めさせてくださいと率直に社長には伝えた」
加藤さんが勤務しているIT系マーケティング企業「サムライト」は、加藤さんの移住と、会社への残留を両立させるため、リゾートワーカー制度を立ち上げました。会社へは行かず、インターネットなどを使い住むところで働ける制度です。
「会社としてもそういう生き方を応援したいし働き方としても新しい働き方をどんどん取り入れていく会社でありたいのできちんと制度を作るのでそれに乗っかってくれないかと言ってもらえた」
そうして、去年4月、加藤さんは会社に籍をおいたまま、奄美大島へ移住することができました。普段は自宅兼事務所で働いている加藤さんですが、気分を変えるため、海辺にパソコンを持ち出して作業することもあるということです。1年余り奄美大島で働いてみて東京にいる時と比べてもそれほど支障はないと加藤さんはいいます。
「会社の仕事がインターネット上でほとんど完結できるような仕組みになっているのが大きいですけどほんとうにスムーズに仕事も進められている」
移住から半年後の去年10月には長女の結衣那さんが誕生。
奄美大島では、旧暦の3月3日、初節句を迎えた赤ちゃんの足を海につけると健康に育つという言い伝えがあり、各地で浜下れという伝統行事が行われます。加藤さん親子もことし4月、この行事に参加しました。
「奄美の文化とか独特のものがあると思っていてそれを体験しながら育てるのはたいへん貴重なことなので逆に僕は娘がうらやましい。できるだけそういう島ならではの体験をたくさんして大人になってほしい」
奄美大島で新しい働き方と子育てを始めた加藤さん。これからも自然が身近な奄美で暮らしたいと考えています。
「とにかく自然に触れて体を動かしてそれだけで十分じゃないかなと思っている。東京とか都会で育てるんじゃなくて島で育てる以上は自然とその中で自分がどんどん外で活発に活動していくことで健やかに成長するというかそういう姿を願っている」