環境省レッドリストの絶滅危惧ⅠB類に分類される植物「ツキヌキオトギリ」が14日までに鹿児島県の徳之島で確認された。これまで奄美大島が分布地の南限とされており、分布図が塗り替えられる可能性が高い。発見した伊仙町の美延睦美さん(59)は「いまだに新たな発見があるとは」と驚くとともに、「さすがは生物多様性が認められた世界自然遺産の島」と徳之島が秘める潜在能力の高さを喜んだ。
ツキヌキオトギリはオトギリソウ科の多年草。開花期は5~7月とされ、茎が葉を貫いているように見える姿が名の由来。四国、九州でまれに確認される希少種で、環境省のレッドリストでは「近い将来における野生での絶滅の危険性が高い」ⅠB類に分類されている。
美延さんは徳之島の自然保護団体「徳之島虹の会」の事務局長を務める。5月上旬、島内を散策中に見つけた。名前が分からなかったため、専門家に確認するなどして調べた結果、ツキヌキオトギリと判明した。
同定に協力した鹿児島大学国際島嶼教育研究センターの鈴木英治特任教授は「奄美大島で数回確認されていることは知っていたが、自分もまだ実物には出合ったことがないほど珍しい植物」と希少性を強調し、「徳之島はまだ調査が進んでいない側面もある。今後も島内で新しい発見があるかもしれない」と期待した。
美延さんによると、発見場所は島内で唯一の生育地の可能性もあるという。「伐採される恐れもあり、広く知ってもらって保護につなげたい」と話した。
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