奄美最高峰の湯湾岳(ゆわんだけ)は、標高694.4メートル。大和村と宇検村の間に位置し、亜熱帯の植物が生い茂る森に囲まれています。奄美群島国立公園の最も厳重に規制される特別保護地区であり、ユネスコ世界自然遺産「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」の奄美大島の核となるエリアでもあります。
湯湾岳の行き方
湯湾岳へ行く方法はふたつあります。
ひとつ目は、大和村から。奄美フォレストポリスキャンプ場を過ぎ、車で約25分程度走ると湯湾岳9号目にある駐車場に到着します。ここからターサと呼ばれる山頂付近の広場には、ボードウォークを歩いて15分程度です。
ふたつ目は、宇検村から。湯湾岳展望公園の駐車場から、登山道で約1時間歩くとターサに到着。登山といっても木々に覆われている道なので見晴らしは期待できませんが、季節ごとの希少な植物を観察できます。
霊峰としての湯湾岳
湯湾岳はただの山ではありません。奄麻美古(あまみこ)と志爾禮久(しにれく)という二人の神様が降り立ち、奄美大島を創ったという神話が残っていて、湯湾岳を信仰している人もいる霊峰なのです。大和村の名音(なおん)集落では特に色濃く残っており、奄美岳と呼んでいます。「畏れ」が深いため、滅多に湯湾岳には行かないという人もいます。
湯湾岳を訪問するなら
① 夏でも長袖長ズボンで行こう
湯湾岳には、蚊や蜂、アブなどの昆虫がいます。身を守るためにも肌の露出は控えましょう。首にタオルを巻くのもおすすめです。
② ハブに注意しよう
奄美大島には毒蛇であるハブが生息しており、もちろん湯湾岳にもいます。特に暖かい時期はハブが活発に活動します。ボードウォークの入り口にあるハブ棒を護身のために持って登りましょう。
③ 動植物はとっちゃダメ! 絶対!
湯湾岳周辺は国立公園の特別保護地区に指定されていて、動物や昆虫の捕獲、植物の採取、採集トラップの設置も禁止です。近年は希少植物の盗掘が多発しているため、パトロールを強化しているとか。
④ 山道から外れない
山道の脇にはここにしか生息していない植物がたくさんあります。道から外れると希少な動植物を踏んでしまうかもしれないし、ハブに噛まれる可能性も増えます。
訪れるなら冬がおすすめ
私は毎年元旦に湯湾岳へ初詣をしています。冬は昆虫も少なく、ハブの活動も減り、安心してボードウォークを歩くことができるので初心者にはおすすめです。
また、赤くて可愛いヤクシマツチトリモチやセンリョウ、マンリョウなどの植物も見ることができます。今年は美しい鳥の鳴き声も聞くことができました。
湯湾岳は訪問しやすい山です。しかし、湯湾岳の素晴らしさを知らずに行くと、つまらなかったり、危険な目にあったり、希少な動植物に危害を与えてしまったりするかもしれません。
動植物に興味を持って、ルールを守って、神聖な場所を訪問する気持ちで訪れると、きっと充実した時間になるでしょう。