うがみんしょーらん!ライターのとらおです。
2021年の5月、ユネスコの諮問機関から世界自然遺産の登録基準をクリアしていると認められた奄美大島。世界自然遺産として正式に登録される日が待ち遠しいですね!
とても誇らしいことですが、実際に奄美大島に住んでいると「どういったところが評価されたの?」と実感しづらいこともあるんです。
生物の多様性や国際的に貴重な固有種が生息していることが評価されたそうですが、私がパッと思いつくのはアマミノクロウサギやルリカケスぐらい。
せっかく世界自然遺産に登録されるので珍しい植物を観察したい!と思い、今回は「ワダツミノキ」を探してきました。ワダツミノキだけでなく森の中を探検した様子もご紹介します!
ワダツミノキは奄美大島に自生する貴重な植物
ワダツミノキとは2004年に奄美大島の固有種として発表された樹木で、数が少ないため絶滅危惧種にも指定されています。「あれ?元ちとせさんの曲名と同じ?」と思った人もいるのではないでしょうか。
そうなんです。ワダツミノキを新種として発見した京都大学の研究チームが、元ちとせさんのヒット曲にちなんで命名されています。
この植物は2004年以前からその存在は知られていて、沖縄県などに生息している「クサミズキ」と同種と考えられていましたが、実は別の植物でした。科学の進歩や観察する人によってその違いがわかるなんて、驚きです。
奄美大島には同じように見える植物でも、実は他の地域で育っている植物と異なる固有種がまだまだ隠れているかもしれませんね。
「琉球の樹木 奄美・沖縄~八重山の亜熱帯植物図鑑」という本にクサミズキとワダツミノキが紹介されています。この図鑑は葉っぱの違いを中心に花や実を載せているのですが、この両者の写真を見比べても、どっちがどっちなのか素人にはさっぱり。
ということで、他の植物とワダツミノキを見分けるのも大変そうなので、アマミノクロウサギをメインに研究しつつ、植物など他の分野の知識も豊富な鈴木さんに探検の道案内をして頂きました。
いざ、ワダツミノキ探索へ!
ワダツミノキが自生しているポイント近くまでは車で移動し、その後はしばらく林道を歩きながら、目的の樹木を「あれかな?これかな?」言いながら探します。
探検したのは6月下旬。
ワダツミノキは初夏に花が咲き、その後は実がなるようですが、周辺を見渡してもそれらしき花も実も見当たらず。。葉っぱの形を頼りに探し続け、ついにワダツミノキに出会います。
結構大きな木で、葉っぱはこんな感じです。
図鑑に載っている葉っぱと見比べても、クサミズキなのかワダツミノキなのか素人には判断は難しかったですが、奄美大島に自生しているのできっとワダツミノキのはず!
植物を分類できる専門家はほんとにすごい。
ワダツミノキとクサミズキには、抗がん剤になる成分が含まれているようです。
クサミズキは抗がん剤としての利用方法もあるため、海外や石垣島で栽培されているようです。ワダツミノキが奄美大島で栽培されている、という話は聞いたことありませんが、いつかワダツミノキも栽培されお薬として病気の治療に役立つようになれば、誇らしいなぁと感じます。
ワダツミノキは固有種かつ絶滅危惧種なので、自生している樹木を見つけたとしても採取しないでくださいね。
道中、他にも出会った動植物をご紹介
今回はワダツミノキを目的に探検しましたが、他の動植物にも出会うことができました。
その1つが「アマミカジカエデ」。
1999年に奄美大島の固有種として発表されたこれも非常に珍しい樹木。
翼果(よくか)と呼ばれる褐色の翼状の果実が目立って面白いですね。
葉っぱの先が指のように分かれていて、見た目はカエデそのもの。秋には綺麗な赤色に紅葉するのでしょうか?知らずに採取したら、貴重な植物だった!なんてならないように、山の中での植物採取は避けたいと改めて感じます。
もう1つご紹介するのが「リュウキュウハグロトンボ」。
奄美大島、徳之島、沖縄本島など琉球列島に生息する固有種です。
青緑色の輝くボディーと黒い羽根がとてもかっこいいトンボですね!
天然記念物であるアマミノクロウサギなどが注目されやすいですが、他の貴重な動植物は決して遠い存在ではなく、案外私たちの身近に生息しているのだなぁと感じました。
奄美大島の自然豊かな森には多くの魅力があふれていますが、ハブなど危険な動物も存在します。大和村に位置する「奄美野生生物保護センター」は昆虫の標本や動物のはく製など様々な生き物を展示しているので、小さなお子さんでも安全に楽しめるのでおすすめですよ。
森の中に入って探検する場合は、ガイドさんに案内してもらうなど安全面に気を付けるようにしてくださいね。