朝夕日増しに涼しくなり、亜熱帯の島々も秋本番を迎えた。空を見上げると、渡り鳥のサシバが優雅に舞いながら、「ピックイー」と甲高い鳴き声を響かせる。夜の森では、繁殖期のアマミノクロウサギなど、生き物たちがにぎやかに動き出す季節だ。晴れ渡る空の下で、奄美(鹿児島県)の秋の風物詩、サキシマフヨウが咲き誇り、野山を華やかに彩っている。
九州以南に分布するアオイ科フヨウ属の半常緑小高木。同属のブッソウゲと同じハイビスカスの仲間。和名は沖縄・先島諸島に由来する。林道沿いや人里近くでも多く見られ、住民に親しまれる。方言でカジ、カジキ、フユー、ヤマカジなど。
花は白く、ほんのりと桃色に色づいて美しい。奄美市名瀬郊外では、秋の七草の一つ、ススキと共に満開となった。日の光をいっぱいに浴びて、島育ちのハイビスカスがまぶしく輝いていた。
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