鹿児島県奄美市立奄美博物館と世界自然遺産推進共同体が共催する親子自然体験会が2日、奄美市笠利町の蒲生崎観光公園などであった。親子連れ50人が参加。種の保存のために奄美大島以外の施設で飼育されているアマミトゲネズミのために餌の一つであるシイの実を拾い、奄美の希少な生き物や保全の取り組みについて学んだ。
アマミトゲネズミは奄美大島の固有種。環境省のレッドリストで絶滅危惧IB類。保全の一環として、島外の動物園や大学などで飼育して個体数を増やす「生息域外保全」が2017年から行われている。トゲネズミの仲間は世界中で同種と徳之島のトクノシマトゲネズミ、沖縄本島のオキナワトゲネズミの3種しか確認されておらず、いずれも国の天然記念物に指定されている。
会には、アマミトゲネズミを飼育・展示している鹿児島市の平川動物公園、神奈川県の横浜市金沢動物園、兵庫県の神戸どうぶつ王国の飼育担当者らも参加。初めに座学があり、奄美博物館の平城達哉学芸員と平川動物公園の鮫島弘士技師がトゲネズミの生態や特徴、生息域外保全について説明した。
会の後半は蒲生崎観光公園に移動。参加者は地面に目を凝らしてシイの実を探し、集めた実を水に浮かべて虫食いや欠けのないものを選別した。今年はシイの実が例年よりも少なかったものの、1時間ほどで775グラムを採集した。
父親と参加した児童(6)は「100個くらい拾えた。(写真で見た)トゲネズミはかわいかった。おいしく食べてほしい」と笑顔で話していた。集めた実は冷凍後、アマミトゲネズミを飼育する施設へ贈呈する。
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