鹿児島県はこのほど、生物多様性の保全と持続可能な利用に関する基本計画「生物多様性鹿児島県戦略」を改定した。新戦略の計画期間は2024年度から33年度までの10年間。基本方針に「世界自然遺産奄美トレイルの活用推進および南北ネットワーク化に関する検討」などを新たに盛り込んだ。数値目標では、22年度で161人いる奄美群島エコツーリズム推進協議会認定のガイドを、260人(28年度)に増やすとした。
同戦略は生物多様性基本法に基づき14年3月に策定。国際的な取り組みのSDGs(持続可能な開発目標)や、新たな世界目標「昆明・モントリオール生物多様性枠組」の採択、国内での「生物多様性国家戦略2024―2033」の閣議決定などを受け、県の戦略も見直した。
「共生と循環」を基本理念に掲げ、「自然と共生する社会」実現に向けた行動計画を七つの基本方針に沿って整理。33の指標項目で数値目標を設定した。
奄美関係の主なものでは、群島内有人8島を対象に設定した「世界自然遺産奄美トレイル」の利活用を推進し、自然・文化の共通点が多いトカラ列島や沖縄を含めた南北ネットワーク化の可能性を検討。奄美大島と徳之島が世界自然遺産登録される前に県が作成した「奄美群島持続的観光マスタープラン」の改訂作業も関係機関と連携して進め、今後の方向性を定める。
このほか、森林再生を促すなどして世界自然遺産地域やその周辺の緩衝機能の強化を図る。また、野生化したノイヌ・ノネコによる希少動物の捕食被害防止や、徳之島で23年5月に発見された特定外来生物シロアゴガエルの防除などにも力を入れる。
新たな県戦略は県のホームページに掲載している。