鹿児島県与論島のサンゴ礁の健全度を調べる「ヨロン島リーフチェック」(NPO法人海の再生ネットワークよろん主催)が5月30日、同島の茶花沖であった。前年と同じ地点(通称・宮殿西)で調査した結果、造礁サンゴの被度(生きたサンゴが海底を覆う割合)は浅場(水深約5メートル)は前年より約18・8%増加したものの、深場(水深約10メートル)では4・4%減少しており、同法人は「回復傾向にあるとはいえない」との認識を示した。
与論島のリーフチェックは、2000年から毎年実施している。今回はヨロン島ダイビング協議会のメンバーら9人が参加した。
造礁サンゴの被度は浅場が38・8%(前年比18・8%増)、深場は14・4%(同4・4%減)で、調査ライン上に白化したサンゴは観察されなかった。
同法人はサンゴの状況について「18年の台風24,25号の影響で地形が変形し、深場の造礁サンゴ被度減少につながった」と分析。今回の調査について「浅場で造礁サンゴ被度の増加が観察されたが、深場は減少しており、いまだ回復傾向にあるとはいえない」との結果をまとめた。
また、調査地点の深場は岩盤が露出し、造礁サンゴの幼生が着底しやすい状態にあるとして、「岩盤が露出した状態を維持できれば、造礁サンゴ幼生の加入・成長につながるかもしれない」と期待を寄せた。
同法人の池田香菜事務局長は「与論島は地下水が海へと流れ出しやすい地質にあり、陸域由来の汚染の影響を受ける海域が存在する」と指摘し、サンゴ礁保全のため島内の水環境改善の必要性も強調した。
20年の節目を迎えた同島のリーフチェックは11月にも別地点で計画しており、記念行事として島内外からボランティアダイバーを募って実施する予定。
『南海日日新聞』LINEニュース配信中
その他のニュースはLINEでチェック!