国の重要無形民俗文化財に指定されている「与論十五夜踊」が17日、与論町の地主(とこぬし)神社境内で奉納された。本土風の「一番組」と、琉球風の「二番組」による演目があり、演者らが460年以上続く伝統の舞や芝居で五穀豊穣(ほうじょう)と島内安全を祈願した。
与論町誌によると、十五夜踊は1561(永禄4)年に創始。いくつかの説があるが、当時の島主が3人の息子たちに琉球と大和、島内や周辺の島々の歌や舞を学ばせ、一つの芸能にまとめたことが主な由来とされている。毎年旧暦3、8、10月の各15日に奉納され、8月は特に盛大に行われる。
今回は県の2024年度持続可能な循環型モデル支援事業を活用して行事を実施。島民や観光客に十五夜踊を広く周知し、興味を持ってもらおうと、16、17の両日に島の歴史文化に関する各種体験活動や講座も催した。
午後4時ごろ、一番組と二番組合同で演じる雨乞いの踊り「雨賜(あみたぼう)り」で開幕。「一度いふて」や「三者囃子(さんばすう)」、「この庭」などが続いた。8月のみに行われる「獅子舞い」では、大きな獅子が来場者たちにかみつきながら駆け回り、会場からは悲鳴や歓声が上がった。
踊りの後は綱引きで無病息災を祈願。今年は綱の材料不足を補うため、大綱引きの伝統がある沖縄県国頭村から譲り受けた稲わらを使用した。参加した人たちは引っ張って切れた綱の一部で互いをたたき合い、厄を払った。
最後は全員で「六十節」を踊り行事が終了。佐賀県から観光で来島した川口実桜さん(26)は「観光客も地元の人も一体となって参加し、アットホームな感じが良かった」と話した。
与論十五夜踊り保存会の市村博司会長(63)は「あんなにたくさんの人を巻き込んだ獅子舞いは初めてかも。すべて素晴らしかった」と笑顔を見せた。
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