国の重要無形民俗文化財に指定されている鹿児島県龍郷町の「秋名アラセツ行事」で使う「ショチョガマ」が9月10日、4年ぶりに集落と田袋を見下ろす中里(なざと)の山の中腹に完成した。秋名・幾里の住民と、島内外からボランティア約130人が集い、男女に分かれて作業。男性陣は協力して祭場に資材を運び上げ、片屋根のわらぶき小屋(ショチョガマ)を建てた。
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ショチョガマ作りのボランティア募集は、地域の若手の人材不足から、2017年に開始。18年、19年も100人を超えるボランティアが集った。
作業は朝8時に開始。男性陣は焼酎と塩で体を清め、本柱(ほんばしら)2本と「スダチ柱」4本を建てた後、梁(はり)となる「ケタ」を組んで骨格を作った。作業は炎天下、午後5時すぎまで続き、参加者は大粒の汗を額に浮かべながら取り組んだ。作業の終盤はベテランの地域住民が中心となり竹と稲わらで屋根をふいた。門の飾り「シル」を6カ所に建て完成させた。幅約7メートル、高さ約3メートル。
女性陣は秋名集会場で昼食の準備を担当した。この日はシブリ(冬瓜)やニンジンなど具だくさんの豚汁250杯、おにぎり約500個、漬物などを用意。正午近くになると、作業していた男性が昼食を求めて続々と集会所を訪れ、おいしそうに食事を頬張った。作業中には、かき氷も提供され、暑さで火照った体を冷やしていた。
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ボランティアとして初めて参加した高校生らは「名前は聞いたことがあったショチョガマ。実際にどんなものか見てみたいと思い参加した。地域外の人を巻き込んで行う新しい文化継承の形だと思った」「一致団結して、初対面だったのにすぐ仲良くなれていい経験ができた。島でしか体験できないことなので、これからも積極的にこういった場に出たい」と話した。
昼食作りを取りまとめた山田眞砂子さんは「大勢の方が手伝ってくださりうれしく、やりがいがある」と笑顔。保存会の窪田圭喜会長は「ボランティアの方のおかげさまで無事完成し、感謝している。4年ぶりのショチョガマ作りに集落全体が活気づいた。当日は多くの人に参加してほしい」と呼び掛けた。
旧暦8月初丙(はつひのえ)の早朝に行われるショチョガマは、夕方近くに近くの浜である「平瀬マンカイ」とともに五穀豊穣(ほうじょう)を祈るアラセツの稲作儀礼。当日は潮の満ち始めるころにチヂン(太鼓)を鳴らして祭りが始まり、山際から朝日が昇るとショチョガマが揺り倒される。今年は25日に実施する。
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