奄美大島・大和村立大和小学校(新村篤校長、児童22人)で12月8日、奄美群島の日本復帰に関する特別授業があった。講師は同村教育委員会の晨原弘久教育長(65)。3~6年生が受講し、米軍統治下時代の苦しい生活や群島民による復帰運動について学び、奄美の戦後の歴史に理解を深めた。
授業は、12月25日の「日本復帰記念の日」と来年の復帰70周年を踏まえ、児童や教諭らが奄美の先人たちの苦労や功績を知る機会として初めて実施した。
1941(昭和16)年の12月8日は日本軍によるハワイ真珠湾攻撃の日。晨原教育長はまず、戦争が始まった経緯や時代背景、日本とアメリカとの関係などを分かりやすく解説した。
終戦後、46(昭和21)年から8年間を米軍の統治下に置かれた奄美群島。晨原教育長によると、当時の生活は貧しさを極め、1日の労働賃金はわずか米2升ほど。人々は毒抜きをしたソテツの実で飢えをしのいだという。
晨原教育長は、群島民が日本への返還を目指して奮闘した復帰運動について、デモ行進や断食などの様子を撮影した写真を見せながら紹介。「暴力で立ち向かうことなく成し遂げた無血革命。先人たちの偉業に誇りを持って語り継いでほしい」と児童らに呼び掛けた。
6年生の男子児童(12)は「自分がもしその時代にいたら、とても大変で苦労したのかもと想像した。当たり前の生活ができているのは、昔の人のおかげなんだと思った」と話した。
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