うがみんしょーらん!ライターのとらおです。
ついに、2021年が始まりましたね!
昨年延期となった奄美大島の世界自然遺産登録審査会が開催予定の年でもあり、今年も奄美大島のニュースから目が離せません。
奄美大島ではお正月に、お節料理に代わって「三献(さんごん)」を食べる習慣があります。みなさんは食べたことありますか?
他にも独自の行事食がある奄美大島ですが、三献は年始祝いの儀式料理。
今回は、三献がどのような料理なのかご紹介します!
奄美大島のお正月準備
奄美大島の年中行事の中で、特にお正月は大切な行事とされています。
お正月は福をもたらし、神様をもてなす行事であり、五穀豊穣や家族の幸せを祈願します。
一年の始まりを祝うお正月には三献だけでなく、松・竹・ユズリ葉を使った門松、鏡餅、集落の水源地から新しい水を汲んでくる若水汲みなどがあり、催し物それぞれに願いをこめて新年を祝う準備をします。
それぞれの催し物について簡単にご紹介します。
- 三献:冠婚葬祭などの祝いの場で食べられる。お正月には神様やご先祖様にも捧げる供物。
- 門松:神様を迎え入れるための目印。
- 鏡餅:豊作を祈願した飾り物で神様の拠り所でもある。
- 若水汲み:元日の朝早く起きて新鮮な湧水を取りに行く。この水を使って、三献のお茶を準備することもある。
前日の大晦日には大掃除を行い、餅をついてお正月の準備をします。
そして、年越しには餅や豚骨肉、タケノコ、大根、人参、ツワブキなどの野菜料理をお腹一杯食べます。その後、三献の準備に取り掛かります。
三献の料理の内容は?
三献は元々武家儀礼が反映された料理として、伝わったと考えられています。
三献は3種類の料理を作って、一の膳に餅の吸い物、二の膳に刺身、三の膳に肉の吸い物を食べます。これを1膳ずつ頂き、1膳ごとに焼酎などのお酒を飲みます。
地域により具材や食器、出される食事の順番が異なることもありますが、どの地域でも独自のしきたりを大切に後世に伝えています。
今回は、奄美市の有良(あった)をルーツとしたお宅の三献をご紹介します。
その他にもお正月にぴったりな、黒豆や数の子など縁起物のおかずも用意されていました。
用意された赤いお椀には、餅、昆布、しいたけ、卵、海老、かまぼこ、三つ葉が具材として入っていました。具材の数は7つで、奇数にしているそうです。
お正月の朝にぴったりな、優しい味付けでした。
白身魚に刺身醤油をつけて頂きました。
刺身の種類は親戚の方がお正月用に釣った高級魚の1つである「ウンギャルマツ(アオダイ)」。
スーパーで刺身を購入するのではなく、親戚の方が用意してくれるなんて、温かさを感じる習慣ですね。
タコの刺身を食べたり、塩漬けにした魚の塩を抜いて酢と生姜の薄切りを添えて食べる家庭もあるそうです。
一の膳とは異なり、黒いお椀が運ばれてきました。
鶏肉を前日から煮込み出汁をとったスープに、アッタドコネ(有良大根)、人参、ネギを具材にした吸い物。
鶏の旨味が凝縮されていて、鶏飯のスープと同じくらい美味しかったです。
三献の後には床の間に飾ってあった、シュムリと呼ばれる塩盛りと昆布が手渡されました。
この塩盛りには、家族の無病息災や家内安全が祈願されています。
どれも美味しい料理で、「今年も一年頑張ろう!」と気持ちが引き締まる想いになりました。
お正月の終わり
一般的にお正月は1月3日で区切りをつけるかと思います。
しかし、奄美大島では11日の鏡開き、または14日に「ナリモチ」を飾って、お正月終わりとします。日にちが違うのは、地域によって習慣が異なるから。
学校や会社がその間ずっとお正月休みではないので、ご注意ください。
鏡開きには、鏡餅のもちで吸い物を作ったり、ぜんざいを作ったりして、楽しかった正月行事を終えます。
お正月の行事や過ごし方も各家庭で変化しています。
三献も風習として残っているものの、多忙な現代においては三献を作らない家庭が増えています。
三献は奄美大島の大切な食文化であり、そこには昔ながらのお正月風景が残っています。
ぜひ来年のお正月には三献に挑戦して、奄美の文化に触れてみてくださいね。