鹿児島県奄美大島でエコツアーなどを展開している奄美自然学校(永江直志代表)は18日、奄美市笠利町の用海岸でアダンの実の植え付けイベントを開催した。親子連れや観光関係者など約50人が参加。1200個の実を砂浜に埋め、昔ながらの海岸風景の復活を願った。永江代表は「アダンなどの自然の防風林は見た目の良さはもちろん、機能性でも見直されてきている。他の地域にも波及してほしい」と語った。
イベントは環境省が全国で展開する「2020年度国立・国定公園への誘客の推進事業」の一環で、環境保全活動などの体験を取り入れた観光メニューの創出促進が目的。永江さんと観光ネットワーク奄美が主体となり、奄美群島の企業や団体で組織する世界自然遺産推進共同体(代表・久見木大介日本航空鹿児島支店長)が協力した。
主催者は、アダンの防風林の利点として▽コンクリート製の護岸よりも海岸近くの集落への潮風害が少ない▽植生が回復することでもともとそこにいた昆虫や動物の生態系が戻る│などと紹介。「10年、20年、100年後の子どもたちへ美しい奄美の海岸の風景を残そう」と呼び掛けた。
参加者は6班に分かれて作業。植え付け方法や植え付ける場所を変えながら、各班200個ずつアダンの実を砂に埋めた。植え付けの後はビーチ清掃を行い、海岸に打ち上げられたプラスチックごみなどを拾い集めた。
奄美市名瀬の徳山一史さん(41)は「生まれ育った朝仁町の海でもアダンの林を取り戻そうという取り組みがある。子どもたちも海が大好きなのでいい経験になった」と笑顔を見せた。
イベントで植えたアダンの実は、「その土地の気候風土に応じた植生を復活させたい」との思いから、植え付け場所の近くで採取したものを使用した。永江代表は「生態系を壊さず、気軽にできる方法でもある。他の地域でも続いてほしい」と話した。
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