みなさん、こんにちは!
あまみじかんライター・徳之島のチアキです。
徳之島に滞在する際に、きっと頻繁に耳にするであろう「ワイド」というキーワードについてお話しします。
移住した当初、「ワイド」ということばをやたらとよく聞くけれど、「”広い”の意味のwideではない…?」「何を指しているの…?」と不思議に思っていました。
ワイドってなに?
わたしがはじめて「ワイド」ということばに触れたのは、「ワイド節」と呼ばれる民謡を聞いたときでした。
正直なところ、民謡というと「ちょっと懐かしい」「年配の方たちに愛されている」…という偏見を抱いていたのですが、島内のイベントではほぼ必ず流れ、カラオケでも選曲され、子どもたちまでもが歌える、という島内のほぼすべての住民が知っている曲、それが「ワイド節」でした。
民謡・シマ唄「ワイド節」
では「ワイド節」ってどんな曲なのでしょうか。
「ワイド節」は、歌詞のテーマとして闘牛が取り上げられています。
ワイド ワイド ワイド
吾きゃ牛ワイド 全島一ワイド
三京ぬ山風 いきゃ荒さあてぃも
愛しゃる牛ぐゎに 草刈らじうかりゆめ
ウーレ ウレ ウレ
手舞んけ 足舞んけ 指笛吹け 塩まけ
ウーレ ウレ ウレ
吾きゃ牛ワイド 全島一ワイド
作詞 中村民郎
作曲 坪山豊
徳之島は「闘牛の島」とも呼ばれていて、闘牛は島に根付いた伝統文化です。伊仙町にある「なくさみ館」と呼ばれる闘牛場では、闘牛大会が年に3回開催され、対戦に勝利すると一同が太鼓を打ち鳴らし、ラッパと指笛を吹き、「ワイド! ワイド!」という掛け声で勝利を喜び合います。
歌詞を通じて、その熱狂的な雰囲気が伝わってきますね!
ワイドの語源
「ワイド」の語源にはいくつかの説がありますが、いちばん多く耳にするのが「八重竿(やえぞう)」という伊仙町内の地区の名称に由来しているというものです。
闘牛観戦中に、牛にどんな特性や技があるのかはもちろん重要ですが、どの地区の牛なのかという点も観客にとっては重要な要素です。そう考えると、その昔、八重竿地区の住民が応援するときに
「ヤエゾウ! ヤエゾウ!」
と言っても、自然なことに思えてきますね。
そしてそこから…
「ヤエゾ! ヤエゾ!」
「ヤエド! ヤエド!」
「ワイド! ワイド!」
…正直、ちょっと苦しい気もしますが(笑)、こうして変化していったことが「ワイド」の語源だと言われています。
みんなの合言葉
先日、島内の成人式の宴会にお邪魔したのですが、そのときも新成人のみなさんは「ワイド!ワイド!」という掛け声をあげながら登場しました。「ワイド節」と「ワイド!」の掛け声は、やはり老若男女問わずに馴染みがあるんだな、と実感しました。
徳之島に移住してきたわたしはというと…
アパレルのお店で「ワイドパンツ」を見かけたり、(犬を飼っているのですが)ペット用のトイレシートのラインナップの中に「ワイドサイズ」という文字を見かけると、広いという意味の「ワイド」ではなく掛け声の「ワイド」が頭に思い浮かんでしまうほど、徳之島ナイズされています(笑)
おぼらだれん!(徳之島の方言で「ありがとう」)
▼ワイド節
https://www.youtube.com/watch?v=LtgTZt19r78
https://www.youtube.com/watch?v=KCgQbsPCAZw