奄美の海の研究紹介「渚のいきもの勉強会」(鹿児島大学国際島嶼(とうしょ)教育研究センター主催)が11月25日、鹿児島県奄美市名瀬の奄美海洋展示館であった。同研究センター奄美分室の𠮷川晟弘特任研究員(31)、同展示館の高村洸介主任学芸員(26)、小瀬村岳(たける)飼育員、日本自然保護協会の中野恵さん(48)が講話。それぞれの研究活動を通じた発見などを紹介し、未知が広がる奄美の海を研究する楽しさを伝えた。
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普段から情報交換などで連携する研究者同士が、研究の成果や発見を分かりやすく、面白く解説し、多くの島の人に還元しようと初めて開催。会場は自由に出入り可能で、各講話に約20~30人が参加した。
𠮷川研究員は、専門のヤドカリについて「宿借り」だけではなく、ほかの生き物のすみかをつくる「宿貸し」の役割があるとも解説。奄美にもいるヤドカリ「ツメナガヨコバサミ」の貝殻の中で暮らす巻貝ヒラフネガイや、ヤドカリの貝殻に付着し共生するイソギンチャクを紹介した。
小瀬村飼育員は、非公式を含め国内に約80種がいるとされるウツボのうち、55種が奄美で確認されていると説明。大浜海岸で採取された「タピオカウツボ」が国内初の採取記録として報告されたことなどを解説した。
高村主任学芸員は、2021年12月に宇検村で見つかったウニを「ヒラタガゼ属」の一種と同定した過程を報告。形や発色、穴の配列などを観察し、似た種との比較で違いを確認した。国内初の正式な記録として論文を準備中という。
中野さんは、水深が深くなるにつれてどういう生き物が出現するかや、同じ地域でもサンゴ礁近くと内湾近くでは人と海との関わり方が違うと説明。海の環境が集落文化に影響を与えているとの仮説を示した。
聴講した名瀬の釣谷洋輔さんは「身近な海にまだまだ新発見があると思った」と感想。同市笠利町のパーマーリサさんは「ウツボやサンゴなどについて新しい発見があった」と話した。
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