12月25日に迎える奄美群島日本復帰70周年を記念したメモリアル事業の一環で鹿児島県奄美市は11月4日、歴史伝承や機運醸成を目的とした各種イベントを名瀬市街地各所で開いた。復帰記念碑が立つおがみ山を駆け上がる「激坂選手権」では25人が急こう配の坂道に挑み、奄美の未来のために身を削った先人に思いを重ねた。復帰運動の舞台となった身近な聖地を歩く「歴史巡りウォーク」もあり、復帰に至るまでの経緯を学んだ。
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激坂選手権は同日午前、登山口から展望広場までの約600メートル(高低差約66メートル)コースで実施。沿道には米軍政下や日本復帰以降の名瀬市街地の写真などが並び、参加者らは下山しながら今の風景と見比べた。
レース後は上位3人のほか、70周年にちなんで7位と17位も表彰した。最速タイムの2分39秒60で駆け抜けた同市名瀬の自衛官、安達卓之さん(30)は「想像以上にきつく、祖国復帰に奮闘した先人の思いを感じた。これからの奄美を守りたいという決意も湧いた」と振り返った。
歴史巡りウォークは午後にかけて実施。参加者は2組(各定員50人)に分かれ、復帰運動の集会が行われた名瀬小学校庭、断食祈願が行われた高千穂神社を歩いて巡った。今も残る校庭の石段や多くの群島民が賛同した署名活動についても解説があり、理解を深めた。
同市笠利町から家族6人で参加した女子児童は今回、初めて名瀬小と高千穂神社を訪れた。学校の授業で学んでいたこともあり「実際に(復帰運動が行われていた)その場所に来てみて、改めて奄美にとって特別な歴史なんだと感じた」と話した。
このほか同日は、中心商店街で開催された秋祭りに合わせて、復帰にまつわる謎解きイベント「復帰記念クイズラリー」もあり、家族連れなどが楽しんだ。
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