鹿児島県の奄美大島沿岸で30日までに、局所的にサンゴの白化現象が確認された。例年と比べて台風の接近が少なく、海水温の高い状態が続いたためとみられる。31日以降、奄美近海に台風が接近する見込みで、調査を行った奄美海洋生物研究会の興克樹会長は「海水温が低下すれば、サンゴは回復するのでは」と述べた。
サンゴの白化は、共生する褐虫藻という藻類が失われることでサンゴの白い骨格が透けて見える現象。海水温の変化や強い日差しなどのストレスによって発生する。長期化すればサンゴは栄養分を得られず死滅する。
奄美海洋生物研究会は8月23~24日に調査を行い、大浜(奄美市名瀬)、神の子(奄美市笠利町)、節田(同)の海岸3カ所で白化を確認。いずれも海水温が上昇しやすく、日差しの影響も受けやすい水深2メートル以内のリーフ内で発生していた。
大浜海岸では、リーフ内に群生する枝状や卓状のミドリイシ属のサンゴの9割以上が白化し、うち2割は被害が深刻な状態となっている。神の子、節田では広範囲で白化が確認されたが、被害は軽度だった。
大浜海岸では2017年に大規模な白化が確認され、多くのサンゴが死滅したが、近年は回復傾向にあった。興会長は「温暖化によって数年おきに白化が起きているが、高い水温に耐性を持ったサンゴが生き延びているのでは。保全のためにサンゴの変化をしっかりモニタリングしていきたい」と話した。
9月に奄美大島全域でサンゴのモニタリング調査や海水温のデータ分析を行う予定。
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