世界自然遺産候補の「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」の登録審査が今年6~7月、中国の福建省福州市で開催予定の国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産委員会で行われる。新型コロナウイルスの影響で2020年の遺産委が延期され、予定していた審査も持ち越しとなっていた。登録の鍵を握る国際自然保護連合(IUCN)の勧告は5月ごろに出される見込み。環境省は「早期登録に向けて万全を期したい」としている。
奄美・沖縄をめぐっては、政府は17年2月、ユネスコに推薦書を提出。同年10月にIUCNが現地調査を行ったが、推薦地の分断などによって希少な動植物の保護が十分でないとして、「登録延期」を勧告。推薦をいったん取り下げた後、19年2月に再推薦。10月にIUCNが再調査を行い、20年5月ごろに勧告が出される見通しだった。
新型コロナの世界的な感染拡大を受けて、ユネスコは20年6月から中国で開催予定だった世界遺産委員会を21年に延期した。21年にウガンダで予定していた遺産委は中国で同時開催され、「北海道・北東北の縄文遺跡群」(北海道、青森、岩手、秋田各県)の文化遺産登録審査も合わせて行われる見通し。
IUCNの勧告は例年、遺産委開催の6週間前までに出される。環境省自然環境計画課の担当者は「過去の事例を踏まえると、5月ごろに出されると考えている」と見通しを示した。
登録実現に向けて「IUCNが『登録延期』勧告で指摘した事項についてはすでに対応して、再推薦した。素晴らしい自然を永きにわたって保護する第一歩となるように、地元や関係機関と緊密に連携して取り組んできた。よい勧告が出ることを期待している」と述べた。
IUCNの評価は▽登録▽情報照会▽登録延期▽登録不可―の4段階で示される。評価を踏まえて遺産委で登録の可否が審査される。
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