リュウキュウアユ減少傾向続く
奄美リュウキュウアユ保全研究会(会長・四宮明彦元鹿児島大学教授)は24、25日の両日、鹿児島県奄美大島だけに天然の個体が残るリュウキュウアユの調査を行った。島内の主要4河川で確認した個体数は1万6921匹で、調査を開始した2006年以降最少だった前年の3430匹より多かったものの、例年を下回る状態が続いている。
アユの調査は毎年、稚魚が海から川へ上る春と、繁殖期を迎えた成魚が産卵のために川の下流に集まる秋に実施。奄美大島自然保護協議会ヤジ分会(事務局・奄美市住用総合支所市民福祉課)が、県の地域振興推進事業を活用して進めるリュウキュウアユ保護増殖事業の一環で、同研究会に委託している。
新型コロナウイルスの影響で、例年5月ごろに実施している春の調査が延期になっていた。同研究会のメンバーと鹿児島大学の学生ら9人が参加し、潜水調査を行った。
4河川の確認数は▽役勝川1万792匹(前年1639匹)▽住用川2524匹(同1710匹)▽川内川3031匹(同50匹)▽河内川574匹(同31匹)。全ての河川で前年を上回ったが、過去6番目に少ない水準だった。
個体数減少の要因について、同研究会は温暖化による海水温の上昇で、海から川に上る稚魚が減ったためとみている。近年は、渡り鳥のカワウが増加して、捕食被害も懸念されている。
同研究会の久米元・鹿児島大学准教授は「昨年のように絶滅が危惧される状態ではないが、少ない傾向が続いている。カワウ被害も注意して見守っていく必要がある」と述べた。
リュウキュウアユは沖縄島にも生息していたが、急速な開発などに伴う生息環境の悪化で1970年代に絶滅し、奄美大島の個体を利用して定着を図っている。奄美大島でも赤土流出などで生息数が減り、環境省のレッドリストで絶滅危惧1A類。県は条例で希少種に指定して保護している。
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