アシャゲがあずまやに
鹿児島県奄美大島の宇検村阿室集落(田畑成康区長、29世帯61人)に残っていた、ノロが祭事を行う神聖な建物「アシャゲ」が、老朽化とノロの後継者不足のため解体され、このほど観光交流拠点のあずまやに建て替えられた。29日、落成式があり、元山公知村長や住民が集い、完成を祝った。
阿室集落は、ノロによる神事が伝統的に行われてきたが、高齢化や後継者不足で数年前から途絶えている。アシャゲは現在、隣接する土俵周りで行われる豊年祭や八月踊りの際に、参加者が休憩する場となっている。
かつてのアシャゲは1958年建築。天井の古い木のはりは村内に残っていたアシャゲの中では最も古かった。柱と床は鉄筋コンクリート製だったが、ひび割れし、さびた鉄筋がむき出しになってきたことから、集落が村に建て替えを要望していた。
村が県の地域振興推進整備事業の補助などを受け、あずまやに整備した。床から天井まですべて鉄筋コンクリート製で、10本あった柱は4本になった。東、北、西側には腰掛けることができるベンチも設計され、「奄美世界自然遺産トレイル」コースの参加者の休憩場所などにも利用される予定。
落成式では集落の人々が「ほーい」「ほーい」と呼び掛けながら、新築の家に代々してきた同集落の言葉ではらい清めた。田畑区長(62)は「集落にとって、ここはやはりアシャゲ。今後50年、100年先も阿室集落を見守ってもらいたい」と話した。
『南海日日新聞』LINEニュース配信中
その他のニュースはLINEでチェック!