「ムッチモーロター、ムチモロター」「ヨイヤーヨイヤ」。
鹿児島県大和村湯湾釜集落(永野豊区長、43世帯86人)で16日夜、伝統行事「ムチモレ踊り」があった。午後7時の踊り始めには降りしきっていた雨も上がり、風呂敷で顔を覆い女装した踊り手と歌い手がにぎやかに集落内の家々を回って家内安全を祈った。
旧暦10月16日夜に行われる350~400年続く伝統行事。かつて集落で火災が発生した際に水利が悪かったため大火となり、最後は田んぼの泥で消火したことから、水不足の教訓を今に伝えることに加えて五穀豊穣(ほうじょう)の願いも込められるようになったという。
同日は午前中に旧水道を集落住民で清掃。夜は踊り連たちが「道唄」を歌いながらそろって家々を巡り歩いた。踊り連を迎えた家がカシャ餅(よもぎ餅)などを献上すると、永野区長が「ムチモロタ(餅もろた)、ムチモロタ」と紹介。踊り手たちは「ヨイヤヨイヤ」とはやし、一層盛り上がっていた。
三味線を抱え歌い手として参加した政村勇二さん(53)は「歌の歌詞が30番まであり覚えるのが大変。父も母も歌い手だった。今夜は息子も参加している。親子で伝統を引き継いでいきたい」と話した。
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