鹿児島県奄美大島・龍郷町の秋名・幾里地区では9日、アラセツ(新節)行事の「ショチョガマ」と「平瀬マンカイ」が行われた。前日は「ツカリ」と呼ばれ、8日は各家庭でコウソガナシ(家屋敷の守り神)にごちそうを供えて家内安全を祈った。
秋名アラセツ行事保存会の窪田圭喜会長(83)によると、ツカリはミハチガツ(三八月)=アラセツ、シバサシ、ドゥンガ=のそれぞれ祭り日前夜に女性が中心となって準備。ミキや焼酎のほか、各家庭に伝わるやり方でお供え物を並べる。
アラセツ前夜は線香を3回あげた後にお供え物をいったん片付け、翌日の早朝にもう一度並べる。ショチョガマが倒れる前までに、さらに3回の焼香を済ませるしきたり。高齢化などにより、ツカリの風習は年々廃れているという。
この日、窪田会長の自宅では長女の瀬戸口マキさん(58)がツカリのお供え物を用意。魚の揚げ物や野菜と昆布の煮物、果物などを並べて3本の線香を立て、家族の繁栄を祈って手を合わせた。
窪田会長は「時代の流れか、昔のしきたりが次々遠ざかっているように感じる」と語った。
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